(旧版)大腸癌治療ガイドライン医師用 2009年版
Clinical Questions
サイドメモ:CPT-11とUGT1A1 遺伝子多型
CPT-11の活性代謝産物であるSN-38の肝内の代謝酵素(活性体SN-38から不活性体SN-38Gへ変換する酵素)であるUGT1A1遺伝子の*6,*28のダブルヘテロ接合体,あるいはそれぞれをホモ接合体としてもっている患者への投与は,UGT1A1のグルクロン酸抱合能が低下し,SN-38の代謝が遅延することが知られており,好中球減少など重篤な副作用が発現する可能性がある。とりわけ,血清ビリルビン値が高い患者,高齢者,全身状態が不良な患者(たとえばPS2),前回のCPT-11投与で高度な毒性(特に好中球減少)をきたした患者は,投与前にUGT1A1遺伝子多型の有無を調べておくことが望ましい。一方,UGT1A1遺伝子多型のみでCPT-11の毒性をすべて予知できないことから,遺伝子多型の有無にかかわらず,治療中は全身状態を把握しながら,注意深い副作用管理を行っていくことが肝要である。 |