(旧版)大腸癌治療ガイドライン医師用 2009年版
Clinical Questions
CQ14:術後補助化学療法におけるoxaliplatin(L-OHP)
推奨カテゴリーA
現時点では,L-OHPは補助化学療法としては保険診療の適応外である。今後,保険診療として承認された際には,期待される生存期間の上乗せ効果のみならず,有害事象および医療コストについての十分なインフォームド・コンセントのもとに治療法を選択する必要がある。 |
欧米におけるRCTから,StageIII結腸癌術後補助化学療法としての5-FU/LV+L-OHP(FOLFOX4療法,FLOX療法)の有用性が報告されている97),98)。StageIII結腸癌の術後補助化学療法として静注5-FU/LVとの比較を行った2つのRCT(MOSAIC試験,NSABP C-07)でL-OHPの上乗せ効果の有効性が示されている。ただし,MOSAIC試験の6年追跡データ99)では,FOLFOX4療法とLV5FU2療法の6年生存割合の差は4.4%と有意ではあるが顕著な差ではなく(73.0%vs.68.6%),一方,FOLFOX4療法では発熱性好中球減少やGrade3/4の下痢の発生頻度が高く,Grade3の末梢神経障害が12.4%に出現し,末梢神経障害の未回復例が治療終了3年後にも15%に認められている。同様にNSABP C-07においても,FLOX療法の有効性が示されたが,38%にGrade3/4の下痢が発生している98),100)。現在,欧米ではこれらのRCTを踏まえて,5-FU/LV+L-OHPがStageIII結腸癌術後補助化学療法の標準に位置づけられている。
ひるがえって,日本の結腸癌の手術治療成績は概して海外よりも良好であり,例えば大腸癌全国集計によればStageIIIa,StageIIIb結腸癌の5年全生存率はそれぞれ76.1%,62.1%である。L-OHPの使用にあたっては,それぞれの施設の手術治療成績,有害事象(特に末梢神経障害と下痢),および医療コストを含めて適応を吟味する必要がある。
ひるがえって,日本の結腸癌の手術治療成績は概して海外よりも良好であり,例えば大腸癌全国集計によればStageIIIa,StageIIIb結腸癌の5年全生存率はそれぞれ76.1%,62.1%である。L-OHPの使用にあたっては,それぞれの施設の手術治療成績,有害事象(特に末梢神経障害と下痢),および医療コストを含めて適応を吟味する必要がある。