(旧版)大腸癌治療ガイドライン医師用 2009年版

 
Clinical Questions

 


CQ8:肝転移根治切除後の補助化学療法
推奨カテゴリーB
肝切除後の補助化学療法の有効性は確立されていない。臨床試験として検証していくことが望ましい。



大腸癌肝転移根治切除後の補助化学療法としての肝動注療法と全身化学療法の有効性と安全性が臨床試験で検討されてきた。肝動注療法による生存期間の延長と残肝再発防止への明確な治療効果は認められておらず,全身化学療法による生存期間の延長を証明した報告もない260),261),262),263),264),265),266),267)。近年の大規模RCTからは,5-FU/LV動注群の生存率と残肝無再発率は手術単独群と差がないとする報告260)がある一方,FUDR肝動注+5-FU静注併用による治療群の生存期間は手術単独群と差がないものの,残肝無再発率は有意に低率であったことが報告されている261)。全身化学療法に関しては,全身化学療法(5-FU/LV)群の5年全生存率は無治療群と差はなかったが,5年無病生存率は良好であったこと(FFCD09002試験)26),5-FU/LV(LV5FU)療法とLV5FU+CPT-11の比較では,無病生存期間に差はなくCPT-11の上乗せ効果は認められなかったこと268)などが報告されている。
以上のように,肝転移根治切除例に対する補助化学療法の有効性を明確に示すエビデンスは認められていない。しかし,StageIIIに対する補助化学療法の有効性が確立している現在,StageIIIよりも再発リスクが明らかに高いStageIVに対する補助化学療法を実地臨床の場で実施することは容認されるべきものと考えられる。しかしながら,肝切除後という病態に対する補助化学療法の安全性という側面も十分に考慮すべきことから,その有効性と安全性は臨床試験として検証していくことが合理的である。

 

 
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