(旧版)大腸癌治療ガイドライン医師用 2009年版

 
Clinical Questions

 


CQ7:肝・肺転移を有する症例に対する切除
推奨カテゴリーC
同時期に肝・肺転移を有する症例に対する切除の有効性が示されており,切除可能な肝・肺転移に対しては切除を考慮すべきである。
しかし,手術適応基準を決するに足るデータはない。治癒率は高くないこと,切除の予後予測因子(predictive factor)は不明であることなどに関する十分なインフォームド・コンセントを得る必要がある。



同時期に肝・肺転移をともに有する症例でも切除により長期生存あるいは治癒が得られることがある256),257)。しかしながら肝・肺転移をともに有する症例では原発巣や転移巣の進展が高度であることや,肝・肺以外にも転移を認めることが多く,完全切除が施行される症例は極めて少ない。本邦におけるKobayashiらの集計によれば,351例の肺転移切除例のうち47例に肝転移切除が行われたが,同時期に肝・肺転移が切除されたのは7例(2%)のみであった25)。このような希少性から,肝・肺切除が有効となる予後予測因子は十分解明されていないが,同時性転移よりも異時性転移のほうが予後良好であること258),259),同時期に肝・肺転移を有する症例で切除が有効なのは孤立性肺転移例のみであること25),同時・異時切除にかかわらず術前CEAとCA19-9が予後因子であること,無再発期間,肝転移個数,年齢が予後因子として重要であることなどの報告がある72)
肝・肺転移をともに有する症例に対する外科治療に関して,報告されているのはすべて後ろ向き研究であるが,肝・肺転移の切除が予後改善に寄与する症例が一定の割合で存在することは確かであり,予後予測因子を中心とした手術適応基準を確立することが急務である。

 

 
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