(旧版)大腸癌治療ガイドライン医師用 2009年版
Clinical Questions
CQ2:最大径2cm以上のcM癌・cSM癌の内視鏡的摘除
推奨カテゴリーB
正確な術前内視鏡診断が必須であり,術者の内視鏡的摘除の技量を考慮して,EMR,分割EMR,ESDによる摘除の適応を決定する。 |
病変の大きさにかかわらず,cSM高度浸潤癌は内視鏡的治療の適応外である。cMおよびcSM軽度浸潤癌は内視鏡的摘除が適応であるが,摘除標本の正確な病理診断のために癌病変の一括切除が要件である。一般にスネアのサイズからEMRで完全一括摘除が可能な病変は最大径2cm程度である3)。しかし,腺腫成分を伴う病変(腺腫内癌)では腺腫部分での分断による計画的分割EMR(癌部分は一括切除する)の根治性が証明されており3),最大径2cm以上のいわゆるLST(laterally spreading tumor)が分割EMRのよい適応である。ただし,分割EMRには確実なスネアリング技術が必要であることに留意すべきである。なお,腺腫成分と癌部の判別には,インジゴカルミン散布による色素内視鏡観察や拡大観察によるpit pattern診断が有用である6)。ESDを用いれば2cm以上の病変も一括摘除が可能であるが,手技の難度が高く,穿孔などの偶発症発症率も高いことを十分に考慮して実施すべきである3)。