(旧版)大腸癌治療ガイドライン医師用 2009年版

 
各論

 

6.放射線療法


 2) 緩和的放射線療法



a.骨盤内病変(CQ-18)
 ・  骨盤内腫瘍による疼痛,出血,便通障害などの症状緩和を目的とする。
 ・  標的体積には症状の原因となっている腫瘍を含める。
 [線量と分割法]
 ・  1回1.8〜2.0Gy,総線量45〜50Gy照射する。
 ・  全身状態,症状の程度によっては1回線量を多くして短期間で照射を終了することもある。
b.骨盤外病変
(1)骨転移
 ・  疼痛の軽減,病的骨折の予防,脊髄麻痺の予防と治療を目的とする。
 ・  標的体積には症状の原因となっている腫瘍を含める。
 [線量と分割法]
 ・  局所照射では30Gy/10回,20Gy/5回などの分割照射が広く行われている。
(2)脳転移
 ・  4. 血行性転移の治療方針 3)脳転移の治療方針」の項を参照。
 [線量と分割法]
 ・  全脳照射では30Gy/10回が標準的であり,長期予後が期待される場合には37.5Gy/15回ないしは40Gy/20回などを検討する。
 ・  定位手術的照射では辺縁線量16〜25Gyを1回で照射する。


 コメント 

(1) 骨盤内病変
 ・  疼痛,出血などの自覚症状,QOLの改善を目的とした放射線治療は有効である。
 ・  45Gy以上照射された群での症状緩和率は疼痛89〜93%,出血79〜100%,神経性症状52%,腫瘍の圧排による症状71〜88%,滲出液50%,泌尿器科的症状22%,その他の症状42%であった158),159)
 ・  症状緩和持続期間は3〜10カ月である。
(2) 骨盤外病変
1.骨転移
 ・  局所照射の疼痛緩和率は70〜90%である160),161)
 ・  疼痛緩和を目的とした場合,線量と効果の明らかな関係は示されておらず,30Gy/10回,20Gy/5回,8Gy/1回などで疼痛緩和効果は同等である162),163)
 ・  病的骨折や骨折のリスクがある場合,脊髄圧迫症状や神経因性疼痛がある場合,長期予後が期待できる場合などでは,分割照射が推奨される。
 ・  多発性骨転移で多数の疼痛部位がある場合には,ストロンチウム89などの放射性同位元素やビスフォスフォネートによる治療が考慮される。
2.脳転移
 ・  4. 血行性転移の治療方針 3)脳転移の治療方針」の項を参照。
3.その他の部位
 ・  頸部リンパ節,傍大動脈リンパ節,鼠径リンパ節,縦隔・肺門リンパ節などのリンパ節転移に対する症状緩和を目的とした放射線治療が考慮されることがある。


 

 
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