[肝切除] |
(1) | 肝切除は,コホート研究や第III相試験から導き出された結論ではないが,選択された症例に対しては他の治療法と比較研究することが許容し難いほどの良好な成績が示されている。 |
(2) | 肝切除後の5年生存率は20〜50%である32),33),34)。本邦で行われた多施設集計では,肝切除585例の3年生存率は52.8%,5年生存率は39.2%であった35)。 |
(3) | 転移巣の数,大きさおよび部位を評価し,転移巣の完全切除が可能か否かを判定する。 |
(4) | 切除断端に癌が露出しない切除が重要である36),37),38)。 ・ | 切除断端距離は,1cm以上を推奨する報告と39),40),癌の露出がなければよいとする報告がある41),42),43),44)。 | |
(5) | 同時性肝転移では,原発巣の切除を先行し,原発巣の根治性を評価してから肝転移を切除してもよい。 |
(6) | 肝門部リンパ節転移例の予後は不良であることから,肝門部リンパ節転移は肝切除の適応の除外因子としている報告がある32),45),46)。 ・ | 本邦の集計では,肝門部リンパ節転移例で郭清した場合の5年生存率は12.5%であった35)。 | |
(7) | 制御可能な肝外転移(主に肺転移)を合併した肝転移例において,肝切除の有効性を示している報告がある24),25),27),47)。(CQ-7) |
(8) | 残肝再発に対する再肝切除で21〜48%の5年生存率が報告されている。残肝再発例に対しても前述の肝切除の適応基準に照らして切除を考慮する48),49),50),51),52),53),54),55)。 |
(9) | 肝切除後の全身化学療法・肝動注療法の有効性はいまだ確立されていない。(CQ-8) |
(10) | 切除可能な肝転移に対する術前化学療法の安全性は確立されていない。(CQ-9) |