(旧版)大腸癌治療ガイドライン医師用 2009年版

 
総論

 
3.作成法


1)作成の経過

大腸癌研究会がガイドライン作成委員会と評価委員会を組織し,前者が作成したガイドラインの原案を後者がレビューして最終案をまとめ,研究会会員の意見を広く求めて加筆・修正した後に刊行した。具体的には,2007年7月に作成委員会を発足させ,2008年10月に評価委員会に原案が提出され,2009年4月に最終稿を脱稿した。この間,2008年10月の第63回日本大腸肛門病学会学術集会のシンポジウムではガイドラインの問題点が討議され,2009年1月の第70回大腸癌研究会学術集会の際に公聴会が開催され,本ガイドラインに対する意見を聴取した。


2)作成の原則

本ガイドラインは,大腸癌の標準的な治療方針の理解を助けるために各種治療法と治療方針の根拠を示すが,各治療法の技術的問題には立ち入らない。


3)エビデンスの抽出と評価

科学的根拠に基づく医療(evidence-based medicine)の概念に則した作成法を採用したことは初版と同様であるが,改めて網羅的な文献検索を行った。ただし,日本と海外とでは,大腸癌の診療の質,診療に対する考え方に格差があるため,海外のエビデンスを十分に吟味する一方,大腸癌研究会で集積された本邦独自の臨床データ(全国登録委員会,各種委員会・プロジェクト研究)を重視した。エビデンスレベルは,以下のように高いものと低いものに分類した。
■エビデンス分類
[高いレベルのエビデンス]
・システマティック・レビュー/ランダム化比較試験のメタアナリシス
・ランダム化比較試験
・非ランダム化比較試験
・コホート研究,症例対照研究,横断研究
[低いレベルのエビデンス]
・症例集積研究,症例報告,専門家の意見,臨床経験


4)記載方法

治療方針のアルゴリズムを提示すること,臨床経験に基づくコンセンサスが形成されている事項が多いStage0~StageIIIの内視鏡治療,外科治療に関しては簡潔な記載とすること,大腸癌に比較的特異的な課題であるStageIVおよび血行性転移の外科治療,再発癌治療,化学療法,放射線療法,術後再発のサーベイランスについては多少詳細に記載することとした初版のコンセプトを継承した。
本改訂版では,ガイドライン作成委員会の合議のもとに,全項目のなかから議論の余地のある課題をclinical question(CQ)として取り上げて,推奨文を記載した。


5)推奨の記載方法

CQに対する推奨文には,上記のエビデンス分類と作成委員のコンセンサスに基づいて作成した推奨カテゴリー分類を示した。推奨カテゴリーの決定にあたっては,1.科学的根拠が明確で,考え得る最良・最適の治療法であること,2.可能な限り安全で侵襲が少なく身体機能が維持される治療法であること,3.費用効果的であり,患者の経済的負担が最小の治療法であること,4.本邦における診療現場の実状に即した治療法であることを踏まえて,推奨文のもととなるエビデンスの内的妥当性の評価に加えて,推奨文自体の内的妥当性,外的妥当性,臨床的適応性を総合的に検討し,ガイドライン作成委員全員の意見が一致しているものをカテゴリーAまたはB,3名以上の不一致があるものをカテゴリーD,その他をカテゴリーCに分類した。なお,本ガイドラインには,カテゴリーDの推奨は収載していない。

■推奨カテゴリー分類
カテゴリーA       高いレベルのエビデンスに基づき,ガイドライン作成委員の意見が一致している。
カテゴリーB 低いレベルのエビデンスに基づき,ガイドライン作成委員の意見が一致している。
カテゴリーC エビデンスのレベルにかかわらず,ガイドライン作成委員の意見が完全には一致していない。
カテゴリーD ガイドライン作成委員の意見が相違している。

 

 
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