(旧版)大腸癌治療ガイドライン
II.治療法の種類と治療方針の解説
6.放射線療法
放射線療法には,術後の再発抑制や術前の腫瘍量減量,肛門温存を目的とした補助放射線療法と切除不能転移・再発大腸癌の症状を軽減することを目的とした緩和的放射線療法がある。
1)補助放射線療法
・ | 直腸癌に対して骨盤内再発予防やダウンステージを目的とする。 |
・ | 照射方法により外部照射と術中照射に分けられる。 |
a.外部照射法
適応の原則は骨盤内に放射線治療歴がないことである。
【治療計画】
・ | 標的体積には通常腫瘍床と所属リンパ節を含める。 |
・ | 小腸を可及的に照射体積から避けるように努める。 |
・ | 毒性の観点から3門照射(後方,左右対向)または4門照射(前後,左右対向)が推奨される。 |
・ | 少なくとも6MV以上のX線発生装置で治療することが望ましい。また,側方からの照射は10MV以上での治療が推奨される。 |
・ | 1回1.8〜2.0Gy,週5回の通常分割照射法が一般的である。 |
・ | 腫瘍床と所属リンパ節に40〜45Gy照射後,ブースト照射として腫瘍床および直近のリンパ節へ50〜50.4Gyまで行うことがある。 |
・ | 肉眼的病変が残存し,小腸などが照射野内に含まれない場合には55〜60Gyまで線量を増加することもある。 |
b.術中照射法
外科的剥離断端が陽性または断端近接で局所制御の向上を目的とする。
【治療計画】
・ | 照射範囲は断端陽性,近接部位に対して設定する。 |
・ | 電子線照射を施行することが多いが,高線量率小線源を用いることもある89),90)。 |
・ | 使用される電子線のエネルギーは腫瘍の深さに応じて選択される。 |
・ | 外科的剥離断端が近接または顕微鏡的に陽性の場合は10〜15Gy,肉眼的に陽性の場合は15〜20Gy照射する。 |