[肝切除] |
(1) |
肝切除は,コホート研究や第III相試験から導き出された結論ではないが,現時点では,選択された症例に対しては他の治療法と比較研究することが許容しがたいほどの良好な成績が示されている。 |
(2) |
肝切除後の5年生存率は20〜50%である21),22),23)。本邦での多施設集計では,肝切除585例の3年生存率は52.8%,5年生存率は39.2%であった24)。 |
(3) |
転移巣の数,大きさおよび部位を評価し,転移巣の完全切除が可能か否かを判定する。 |
(4) |
切除断端に癌が露出しない切除が重要である25),26),27)。 |
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(5) |
不顕性転移を除外するために,肝転移巣が小さければ一定の観察期間後に肝切除を行う方針でもよい34)。 |
(6) |
肝門部リンパ節転移例の予後は不良であることから,肝門部リンパ節転移は肝切除の適応の除外因子としている報告がある21),35),36)。 |
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本邦の集計では,肝門部リンパ節転移例で郭清した場合の5年生存率は12.5%であった24)。 |
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(7) |
制御可能な肝外転移(主に肺転移)を合併した肝転移例において,肝切除の有効性を示している報告がある19),20),37),38)。 |
(8) |
肝転移のgradingが試みられている。 |
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・ |
肝転移巣の大きさ,個数および原発巣の所属リンパ節転移の3因子を用いた大腸癌研究会のGrade示す39)。 |
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(9) |
残肝再発例には再肝切除が有効である例がある。 |
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残肝再発例に対しても前述の肝切除の適応基準に照らして切除を考慮する40),41),42)。 |
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(10) |
肝切除後の補助肝動注療法の有効性はいまだ確立されていない。 |
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[切除以外の治療法] |
(1) |
切除不能肝転移例には抗癌剤の肝動注療法または全身化学療法を単独または併用して行う。 |
(2) |
切除不能肝転移例に対して肝動注療法あるいは熱凝固療法を行う場合は,原発巣が制御されていることが望ましい。 |
(3) |
熱凝固療法は低侵襲性が利点であり,局所制御効果および長期生存例が報告されている43),44)。ただし,いまだ十分な症例集積や長期予後の報告はなく,有効性の評価は定まっていない。 |
(4) |
全身状態が不良な場合は適切な対症療法(BSC)を行う。 |
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HX |
: |
肝転移が不明 |
H0 |
: |
肝転移を認めない |
H1 |
: |
肝転移巣4個以下かつ最大径が5cm以下 |
H2 |
: |
H1,H3以外 |
H3 |
: |
肝転移巣5個以上かつ最大径が5cmを超える |
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肝転移のGrade |
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注1 |
: |
Nは原発巣のリンパ節転移度である。 |
注2 |
: |
原発巣のリンパ節転移が不明の場合はGradeを決めない。 |
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各Gradeの5年生存率 |
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