(旧版)大腸癌治療ガイドライン
II.治療法の種類と治療方針の解説
1.Stage 0〜Stage III大腸癌の治療方針
2)手術治療
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(1) | 腫瘍から10cm以上離れた壁在リンパ節および腸管傍リンパ節の転移はまれであり,また,このような症例の予後は不良である。 | |||||
(2) | 表2,表3,表4に組織学的壁深達度別リンパ節転移度,治癒切除率,5年生存率を示した10)。 | |||||
(3) | 治癒切除例の5年生存率は,全症例で81.3%,結腸癌では83.7%,RS直腸癌では81.2%,Ra〜Rb直腸癌では77.1%であった。 | |||||
(4) | RS癌およびRa癌では3cm以上,Rb癌では2cm以上の直腸間膜内肛門側進展は稀である13)。 | |||||
(5) | 直腸間膜全切除(TME:total mesorectal excision)とは肛門管直上(anorectal ring)までの直腸間膜をすべて切除する術式である14)。 | |||||
(6) | 大腸癌研究会のプロジェクト研究での2,916例の直腸癌の分析では,腫瘍下縁が腹膜反転部より肛門側にあり,かつ,直腸壁を貫通している癌の側方リンパ節転移率は20.1%(側方郭清例のみ)であった。この適応のもと側方郭清を行うと,骨盤内再発リスクは50%減少し,5年生存率は9%改善すると試算された(表5)。 | |||||
(7) | 腫瘍下縁が腹膜反転部より肛門側にある癌で直腸間膜内にリンパ節転移を認めた場合,側方リンパ節転移率は27%であった。 | |||||
(8) | 自律神経系を全温存しても,側方郭清を行った場合,排尿機能や男性性機能が障害されることがある。 | |||||
(9) | 腹腔鏡手術は短期のQOLの改善が認められている15),16)。 | |||||
(10) | 国内では結腸癌のStage II,Stage IIIに対する腹腔鏡手術の治療効果の第III相試験が進行中である。 | |||||
(11) | 米国で行われた結腸癌に対する腹腔鏡手術と開腹手術の第III相試験では,生存率と再発率に差を認めなかった16)。 | |||||
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