有効性評価に基づく肺がん検診ガイドライン

 
IV.結果

 
2. 検診方法の証拠

1)非高危険群に対する胸部X線検査、及び高危険群に対する胸部X線検査と喀痰細胞診併用法
検査の概要

胸部X線検査には、X線透視画像をフィルム・増感紙系で撮影する直接撮影と、透視画像をI.I.(イメージ・インテンシファイアー)で映し、スポットカメラで撮影する間接撮影がある。撮影の手技は、1992年に厚生省老人保健福祉部老人保健課監修の「老人保健法による肺がん検診マニュアル」13)及び日本肺癌学会編集の「肺癌取扱い規約」14)に標準的な方法が定められている。また、読影のシステムも、2人の読影医による二重読影及び過去フィルムとの比較による比較読影を行うことが、標準的方法として定められている13),14)。直接撮影と100mmフィルムを用いた間接撮影の感度を比較した報告は少ないが存在する。実際のフィルムやファントムによる読影実験で、100mmフィルムを用いた間接撮影の特異度がやや劣る可能性があるが感度には大きな差異はないため15),16)、有効性の評価では一括して扱った。なお、70mmフィルムを用いた間接撮影も有効性評価時には一括して扱ったが、この方法を他の方法と比較した報告は見当たらなかったので、同一に扱うことの妥当性に若干の問題が残る。
喀痰細胞診は、高危険群のみ行われていることが多く、また高危険群以外に対して行うことは意味がないとされている。高危険群の定義は、おおむね高喫煙歴を有するものと同一で、喫煙指数400以上あるいは600以上とするのが一般的である。方法としては3日間の蓄痰法または連痰法を用い、それをホモジナイズ法または直接塗抹法によりスライドグラス上に展開し検鏡する。これも標準となる方法が「老人保健法による肺がん検診マニュアル」13)及び日本肺癌学会編集の「肺癌取扱い規約」14)に定められている。

 

 
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