(旧版)褥瘡予防・管理ガイドライン(第3版)
ガイドライン各論
CQ4 全身管理
Clinical Question | 推奨度 | 推奨文 | ||
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発生予防 全身管理 |
CQ 4.1 | 褥瘡発生の危険因子として,どのような基礎疾患を考慮すればよいか | C1 | 骨盤骨折,糖尿病,脳血管疾患,脊髄損傷などを考慮する。 |
CQ 4.2 | 低栄養患者の褥瘡予防には,どのような栄養介入を行うとよいか | B | 蛋白質・エネルギー低栄養状態(PEM)の患者に対して,疾患を考慮したうえで,高エネルギー,高蛋白質のサプリメントによる補給を行うことが勧められる。 |
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CQ 4.3 | 経口摂取が不可能な患者の栄養補給はどのようにすればよいか | C1 | 必要な栄養量を経腸栄養で補給するが,不可能な場合は静脈栄養による補給を行う。 | |
CQ 4.4 | 褥瘡発生の危険因子となる低栄養状態を確認する指標には何があるか | C1 | 炎症,脱水などがなければ血清アルブミン値を用いてもよい。 | |
C1 | 体重減少率を用いてもよい。 | |||
C1 | 喫食率(食事摂取量)を用いてもよい。 | |||
C1 | 主観的包括的栄養評価(SGA)を用いてもよい。 | |||
C1 | 高齢者にはMNA®(mini nutritional assessment)を用いてもよい。 | |||
発生後 全身管理 |
CQ 4.5 | 感染を有する褥瘡に対して,抗菌薬の全身投与が必要なのはどのような時か | C1 | 進行する蜂窩織炎・骨髄炎,壊死性筋膜炎,菌血症,敗血症を示す理学的所見および検査データが得られた場合,抗菌薬の全身投与を考慮する。なお,局所感染徴候のみの場合,抗菌薬の全身投与は考慮しない。 |
CQ 4.6 | 抗菌薬の全身投与が必要な感染褥瘡において,どのような抗菌薬の使用が適切か | C1 | すみやかに想定される起炎菌に適応した抗菌薬の投与を考慮し,感受性試験の結果に基づき,より適切な抗菌薬を投与する。 | |
CQ 4.7 | 褥瘡治癒を遷延させる危険因子として,どのような基礎疾患を考慮すればよいか | C1 | 悪性腫瘍,心血管疾患などを考慮する。 | |
CQ 4.8 | 褥瘡患者には栄養評価を行ったほうがよいか | C1 | 栄養評価を行い,必要な症例には栄養介入を行う。 |
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CQ 4.9 | 褥瘡患者にはどのような栄養補給を行うのがよいか | B | 褥瘡治癒のための必要エネルギーとして,基礎エネルギー消費量(BEE)の1.5倍以上を補給することが勧められる。 | |
B | 必要量に見合った蛋白質を補給することが勧められる。 | |||
CQ 4.10 | 褥瘡患者に特定の栄養素を補給することは有効か | C1 | 亜鉛、アルギニン、アスコルビン酸などが欠乏しないように補給してもよい。 | |
CQ 4.11 | 褥瘡患者に対して栄養の専門職およびチームの介入は行ったほうがよいか | C1 | 管理栄養士や栄養サポートチーム(NST)の介入を行ってもよい。 | |
CQ 4.12 | 褥瘡患者の栄養補給の評価に体重を用いてもよいか | B | 浮腫,脱水がなければ,体重増加量を用いることが勧められる。 |