(旧版)褥瘡予防・管理ガイドライン(第3版)
ガイドライン各論
CQ2 ドレッシング材
Clinical Question | 推奨度 | 推奨文 | |
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CQ 2.1 | 急性期の褥瘡にはどのようなドレッシング材を用いたらよいか | C1 | 毎日の観察を怠らないようにし,創面保護を目的として,ポリウレタンフィルムや真皮に至る創傷用ドレッシング材の中でも貼付後も創が視認できるドレッシング材を用いてもよい。 |
CQ 2.2 | 深部損傷褥瘡(DTI)が疑われる場合,どのようなドレッシング材を用いたらよいか | C1 | 毎日の局所観察を怠らないようにし,創面保護を目的として,ポリウレタンフィルムや真皮に至る創傷用ドレッシング材の中でも貼付後も創が視認できるドレッシング材を用いてもよい。 |
CQ 2.3 | 発赤・紫斑にはどのようなドレッシング材を用いたらよいか | C1 | 創面保護を目的として,ポリウレタンフィルムを用いてもよい。また,真皮に至る創傷用ドレッシング材の中でも貼付後も創が視認できるドレッシング材を用いてもよい。 |
CQ 2.4 | 水疱にはどのようなドレッシング材を用いたらよいか | C1 | 水疱は破らずそのままにし,創面保護を目的として,ポリウレタンフィルムを用いてもよい。また,真皮に至る創傷用ドレッシング材の中でも貼付後も創が視認できるドレッシング材を用いてもよい。 |
CQ 2.5 | びらん・浅い潰瘍にはどのようなドレッシング材を用いたらよいか | B | 保険適用のある真皮に至る創傷用ドレッシング材のハイドロコロイドを用いることが勧められる。皮下組織に至る創傷用ドレッシング材のハイドロコロイドを用いてもよいが保険適用外である。 |
C1 | 保険適用のある真皮に至る創傷用ドレッシング材のハイドロジェル,ポリウレタンフォームのシートタイプ,アルギン酸フォーム,キチンを用いてもよい。皮下組織に至る創傷用ドレッシング材のハイドロジェル,ハイドロポリマー,ポリウレタンフォーム,ポリウレタンフォーム/ソフトシリコン,アルギン酸塩,キチンを選択肢として考慮してもよいが保険適用外である。 | ||
CQ 2.6 | 疼痛を伴う場合にドレッシング材は有用か | C1 | ドレッシング材には創部の疼痛を除去する効果はないが,創面を適切な湿潤環境に保つことで疼痛を緩和できる。ドレッシング材を交換する際には,痛みのアセスメントを十分に行い,ハイドロコロイド,ポリウレタンフォーム,ポリウレタンフォーム/ソフトシリコン,ハイドロファイバー®,キチン,ハイドロジェルを用いてもよい。 |
CQ 2.7 | 滲出液が多い場合,どのようなドレッシング材を用いたらよいか | B | 過剰な滲出液を吸収保持するポリウレタンフォームを用いることが勧められる。 |
C1 | 皮下組織に至る創傷用と筋・骨に至る創傷用ドレッシング材のアルギン酸/CMC,ポリウレタンフォーム/ソフトシリコン,アルギン酸塩,アルギン酸フォーム,キチン,ハイドロファイバー®,ハイドロポリマーを用いてもよい。 | ||
CQ 2.8 | 滲出液が少ない場合,どのようなドレッシング材を用いたらよいか | B | ハイドロコロイドを用いることが勧められる。 |
C1 | ハイドロジェルを用いてもよい。 | ||
CQ 2.9 | 褥瘡に感染・炎症を伴う場合,どのようなドレッシング材を用いたらよいか | C1 | 感染抑制作用を有する外用薬の使用を推奨する。もしくは,銀含有ハイドロファイバー®,アルギン酸Agを用いてもよい。 |
C2 | 滲出液が多い場合には吸収性の高いアルギン酸塩が用いられることもあるが,感染制御の機能はないため使用は勧められない。 | ||
CQ 2.10 | 肉芽形成が不十分で肉芽形成を促進させる場合,どのようなドレッシング材を用いたらよいか | C1 | アルギン酸塩,ハイドロコロイド,ハイドロポリマー,ポリウレタンフォーム,ポリウレタンフォーム/ソフトシリコン,キチン,ハイドロファイバー®を用いてもよい。 |
CQ 2.11 | 肉芽形成が不十分で臨界的定着が疑われる場合,どのようなドレッシング材を用いたらよいか | C1 | 銀含有ハイドロファイバー® ,アルギン酸Agを用いてもよい。 |
CQ 2.12 | 肉芽が十分に形成され創の縮小をはかる場合,どのようなドレッシング材を用いたらよいか | B | 銀含有ハイドロファイバー®,アルギン酸Ag,アルギン酸塩を用いることが勧められる。 |
C1 | ハイドロコロイド,ハイドロジェル,ハイドロポリマー,ポリウレタンフォーム,ポリウレタンフォーム/ソフトシリコン,アルギン酸フォーム,キチン,ハイドロファイバー®,アルギン酸/CMC を創からの滲出液の程度により選択し用いてもよい。 | ||
CQ 2.13 | 壊死組織がある場合,どのようなドレッシング材を用いたらよいか | C1 | 外科的デブリードマン,壊死組織除去作用を有する外用薬の使用が難しい場合には,皮下組織に至る創傷用ドレッシング材のハイドロジェルを用いてもよい。 |
CQ 2.14 | ポケットを有する場合,どのようなドレッシング材を用いたらよいか | C1 | ポケット内に壊死組織が残存する場合は,まず創面の清浄化を図る。滲出液が多い場合はアルギン酸塩,ハイドロファイバー®(銀含有製材を含む),アルギン酸Agを用いてもよい。 |
CQ 2.15 | 褥瘡治療に,いわゆるラップ療法は有効か | C1 | 医療用として認可された創傷被覆材の継続使用が困難な在宅等の療養環境において使用することを考慮してもよい。ただし褥瘡の治療について十分な知識と経験を持った医師の責任のもとで,患者・家族に十分な説明をして同意を得たうえで実施すべきである。 |