(旧版)褥瘡予防・管理ガイドライン(第3版)
ガイドライン各論
CQ1 外用剤
Clinical Question | 推奨度 | 推奨文 | |
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CQ 1.1 | 急性期の褥瘡にはどのような外用剤を用いたらよいか | C1 | 酸化亜鉛,ジメチルイソプロピルアズレン,白色ワセリンなどの創面保護効果の高い油脂性基剤の軟膏やスルファジアジン銀を用いてもよい。 |
CQ 1.2 | 深部損傷褥瘡(DTI)が疑われる場合,どのような外用剤を用い たらよいか |
C1 | 毎日の局所観察を怠らないようにし,酸化亜鉛,ジメチルイソプロピルアズレン,白色ワセリンなどの油脂性基剤の軟膏を用いてもよい。 |
CQ 1.3 | 発赤・紫斑にはどのような外用剤を用いたらよいか | C1 | 創面の保護が大切であり,ジメチルイソプロピルアズレン,白色ワセリンを用いてもよい。 |
CQ 1.4 | 水疱にはどのような外用剤を用いたらよいか | C1 | 創の保護目的に白色ワセリン,酸化亜鉛を用いてもよい。 |
CQ 1.5 | びらん・浅い潰瘍にはどのような外用剤を用いたらよいか | C1 | 酸化亜鉛,ジメチルプロピルアズレンを用いてもよい。上皮形成促進を期待してアルプロスタジルアルファデクス,ブクラデシンナトリウム,リゾチーム塩酸塩を用いてもよい。 |
CQ 1.6 | 疼痛を伴う場合に外用剤は有用か | C2 | 疼痛改善に関して外用剤を用いることには根拠がない。 |
CQ 1.7 | 滲出液が多い場合,どのような外用剤を用いたらよいか | B | 滲出液吸収作用を有するカデキソマー・ヨウ素,ポビドンヨード・シュガーを推奨する。 |
C1 | デキストラノマー,ヨウ素軟膏を用いてもよい。 | ||
CQ 1.8 | 滲出液が少ない場合,どのような外用剤を用いたらよいか | C1 | 乳剤性基剤の軟膏を用い,感染創ではスルファジアジン銀,非感染創ではトレチノイントコフェリルを用いてもよい。 |
CQ 1.9 | 褥瘡の洗浄はどのように行えばよいか | C1 | 十分な量の生理食塩水または水道水を用いて洗浄する。 |
CQ 1.10 | 褥瘡部消毒はどのようにしたらよいか | C1 | 洗浄のみで十分であり通常は必要ないが,明らかな創部の感染を認め滲出液や膿苔が多いときには洗浄前に消毒を行ってもよい。 |
CQ 1.11 | 褥瘡に感染・炎症を伴う場合,どのような外用剤を用いたらよいか | B | 感染抑制作用を有するカデキソマー・ヨウ素,スルファジアジン銀,ポビドンヨード・シュガーを推奨する。 |
C1 | フラジオマイシン硫酸塩・トリプシン,ポビドンヨード,ヨウ素軟膏,ヨードホルムを用いてもよい。 | ||
CQ 1.12 | 肉芽形成が不十分で肉芽形成を促進させる場合,どのような外用剤を用いたらよいか | B | 肉芽形成促進作用を有するアルミニウムクロロヒドロキシアラントイネート,トラフェルミン,トレチノイントコフェリル,ポビドンヨード・シュガーを推奨する。 |
C1 | アルプロスタジルアルファデクス,ブクラデシンナトリウム,リゾチーム塩酸塩を用いてもよい。 | ||
CQ 1.13 | 肉芽形成が不十分で臨界的定着が疑われる場合,どのような外用剤を用いたらよいか | C1 | 抗菌作用を有するカデキソマー・ヨウ素,ポビドンヨード・シュガー,ヨウ素軟膏もしくはスルファジアジン銀を用いてもよい。 |
CQ 1.14 | 肉芽が十分に形成され創の縮小をはかる場合,どのような外用剤を用いたらよいか | B | 創の縮小作用を有するアルプロスタジルアルファデクス,アルミニウムクロロヒドロキシアラントイネート,トラフェルミン,ブクラデシンナトリウム,ポビドンヨード・シュガーを推奨する。 |
C1 | 酸化亜鉛,ジメチルプロピルアズレン,幼牛血液抽出物,リゾチーム塩酸塩を用いてもよい。 | ||
CQ 1.15 | 壊死組織がある場合,どのような外用剤を用いたらよいか | C1 | カデキソマー・ヨウ素,スルファジアジン銀,デキストラノマー,ブロメライン,ポビドンヨード・シュガーを用いてもよい。 |
CQ 1.16 | ポケットを有する場合,どのような外用剤を用いたらよいか | C1 | ポケット内に壊死組織が残存する場合は,まず創面の清浄化を図る。また,滲出液が多ければポビドンヨード・シュガーを用いてもよい。滲出液が少なければトラフェルミン,トレチノイントコフェリルを用いてもよい。 |