(旧版)褥瘡予防・管理ガイドライン(第3版)
ガイドライン各論
CQ13 QOL・疼痛
【CQ 13.1】
褥瘡を持つ患者のQOLをどのように評価するとよいか
【推奨文】
身体的影響,心理的影響,社会的影響などを評価してもよい。
【推奨度】 C1
褥瘡を持つ患者のQOLをどのように評価するとよいか
【推奨文】
身体的影響,心理的影響,社会的影響などを評価してもよい。
【推奨度】 C1
【解説】
老人施設入居者を対象に,6ヵ月間のself-report QOLの変化と褥瘡保有との関係を,時系列多変量解析を用いて検証した時系列研究がある。この結果,ステージII以上の褥瘡保有と,6ヵ月間における自律性・安全性・精神的well-beingの低下とが関係していた1)。また,在宅の褥瘡保有者は,SF-36™(健康関連QOLを測定するための信頼性・妥当性を持つ尺度)の身体機能(p<0.001)と社会的機能(p<0.001),セルフケア(p=0.010),可動性(p=0.001)が有意に低く,また身体的痛みが強い(p=0.042)という横断研究2)がある。また,外来の脊髄損傷患者のメンタルヘルススコアの平均は,褥瘡保有者が褥瘡非保有者にくらべて有意に低い(P=0.001)という記述的横断研究がある3)。このように,褥瘡とQOLは強く関係していることから,褥瘡保有者のQOLを評価することは重要である。
システマティック・レビューにより抽出された10の質的研究と21の量的研究4)によると,褥瘡患者の健康関連QOLへの影響要因には11の要素がある。これらの要素は,身体的影響と限界,褥瘡の症状による影響,患者のニーズと介入による影響との不一致,健康全般への影響,心理的影響,原因の認知(予防ケアが不十分だったことに対する怒り),知識への欲求,社会的影響,ヘルスケア提供者との関係性,他の衝撃,経済的問題である。ただし,この論文はシステマティック・レビューではあるものの,量的研究と質的研究の集積であるため,推奨度はC1とした。
【文献】