(旧版)褥瘡予防・管理ガイドライン(第3版)

 
ガイドライン各論

CQ12 アウトカムマネジメント

【CQ 12.3】
褥瘡の治癒促進に,病院ではどのような対策が有効か

【推奨文・推奨度】
多職種で構成する褥瘡対策チームを設置する。 [推奨度C1]
褥瘡ハイリスク患者ケア加算を導入する。 [推奨度C1]
皮膚・排泄ケア認定看護師を配置する。 [推奨度C1]

【解説】
一般病棟と療養病棟の48名の褥瘡保有患者を対象とし,褥瘡対策委員会の活動による褥瘡治癒効果を評価した時系列研究がある1)。DESIGNの改善点が,対策委員会設置前よりも設置6ヵ月以降のほうが有意に高かった(p<0.05)と報告されている。これにより,病院において褥瘡対策チームの活動は褥瘡治癒改善効果があるといえる。
特定機能病院,地域中核病院,一般病院59施設を対象にして褥瘡ハイリスク患者ケア加算の算定の有無による褥瘡治癒効果を検証した前向きコホート研究がある2)。3週間のDESIGN点数の減少は導入群が非導入群よりも有意に多かった(P=0.002)と報告されている。また,DESIGNの点数の減少を従属変数とした重回帰分析の結果,加算導入の項目が有意に関連していた(P<0.001)。これにより,病院において,褥瘡ハイリスクケア加算制度の導入は褥瘡治癒促進効果があるといえる。
大腸肛門施設の療養型病棟において皮膚・排泄ケア認定看護師が関わった2例の症例研究がある3)。1例は皮膚・排泄ケア認定看護師がアセスメントし体圧分散寝具の変更を行ったことにより褥瘡が改善した。2例目は,尿汚染による治癒遅延褥瘡に皮膚・排泄ケア認定看護師が関わったが結果の評価はできなかったとある。文献2の褥瘡ハイリスク患者ケア加算では,皮膚・排泄ケア認定看護師の専従配置が算定条件となっており,加算の効果をもたらした要因として皮膚・排泄ケア認定看護師の果たした役割は大きいことが推察される。これらを総合的に考慮し,病院において皮膚・排泄ケア認定看護師を配置することは褥瘡治癒促進効果があるとした。

【文献】
1) 小川令, 菊池美智子, 加藤一良, ほか:褥瘡対策委員会活動が褥瘡の予防や治療に与えた効果の検討. 褥瘡会誌, 7(2):184-189, 2005.(レベルIV)
2) Sanada H, Nakagami G, Mizokami Y, et al:Evaluating effect of new incentive system for high-risk pressure ulcer patients on wound healing and cost-effectiveness:A cohort study. Int J Nurs Stud, 47(3):279-286, 2010.(レベルIV)
3) 高木良重, 白山千賀子, 増富智子, ほか:WOC看護認定看護師の介入した当院療養型病棟における褥瘡ケアの現状. 日WOCN会誌, 6(2):20-24, 2003.(レベルV)


 

 
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