(旧版)褥瘡予防・管理ガイドライン(第3版)
ガイドライン各論
CQ10 体圧分散用具
【CQ 10.3】
高齢者にどのような体圧分散マットレスを使用すると褥瘡予防に有効か
【推奨文・推奨度】
高齢者にどのような体圧分散マットレスを使用すると褥瘡予防に有効か
【推奨文・推奨度】
① | 二層式エアマットレスを使用するよう勧められる。 [推奨度B] |
② | 圧切替型エアマットレス,上敷静止型エアマットレス,フォームマットレスを使用してもよい。 [推奨度C1] |
【解説】
高齢者を対象に褥瘡発生率を比較した研究は国外のランダム化比較試験が6編1-6),国内のランダム化比較試験が1編7)であった。
国外の文献は,圧切替型ラージエアセルマットレス1,2),上敷静止型エアマットレス3),粘弾性フォームマットレス4,6),渦巻状ウレタンフォームマットレス5)の有効性に関するものであった。圧切替型ラージセルエアマットレス1,2),粘弾性フォームマットレス4,6)は論文によって褥瘡予防効果に関する結果が異なっていた。この理由として,対照マットレスの種類や対象者の状態などの違いがあげられる。上敷静止型エアマットレスは対照マットレスとくらべて褥瘡発生率に有意な差はなかった。渦巻状ウレタンフォームマットレスは対照マットレスとくらべて褥瘡発生率は有意に低かったが,発生率は26.6%であり,十分な褥瘡予防効果を有しているとはいえない。以上から推奨度C1とした。日本人を対象にした褥瘡発生率の比較試験では,二層式エアマットレスが3.4%,単層式圧切替型エアマットレスが19.2%,標準マットレスが37.0%であり,二層式エアマットレスの発生率が有意に低かった(p<0.01)7)。また,二層式エアマットレスは45度の頭側挙上姿勢においても有効性が示された7)。以上から推奨度Bとした。
体圧分散マットレスは高齢者の褥瘡発生リスク,特に骨突出やケア環境なども考慮に入れて選択すべきである。
【文献】