(旧版)褥瘡予防・管理ガイドライン(第3版)
ガイドライン各論
CQ9 体位変換・ポジショニング
【CQ 9.5】
臀部の褥瘡を保有する患者には,どのようなポジショニングが褥瘡治癒促進に有効か
【推奨文】
30度側臥位・頭部挙上位以外のポジショニングを行ってもよい。
【推奨度】 C1
臀部の褥瘡を保有する患者には,どのようなポジショニングが褥瘡治癒促進に有効か
【推奨文】
30度側臥位・頭部挙上位以外のポジショニングを行ってもよい。
【推奨度】 C1
【解説】
臀部に褥瘡が発生している患者に対し,どのようなポジショニングが有効かについて検討した非ランダム化自己対照試験が国内で2編ある。90度側臥位時と30度側臥位時との創形状を比較1)し,形状が変化した褥瘡は5部位,変化しなかった褥瘡は4部位であった(創の横断面変位量;変化あり群-72.3,変化なし群-8.2,p=0.04))。同様に30度頭部挙上位における創面積比は,変化あり群0.16,変化なし群は1.36で有意差を認めた(p=0.02)。また,30度側臥位,30度頭部挙上位時の創縁の健常部分と肥厚した部分の圧の測定を行った研究2)では,双方の体位において,肥厚した部分の最高圧(p=0.01,p=0.05),平均圧(p=0.01,p=0.03)ともに健常部分より有意に高い値であった。いずれの研究も寝たきり高齢者に発生した褥瘡を対象としていた。
30度ルールは褥瘡予防のポジショニングとして普及してきたが,褥瘡管理にも応用されることがある。しかし患者の体型によっては,30度ルールのポジショニングでは褥瘡の治癒遅延をもたらすことが示唆される。以上から,30度ルールにこだわることなく,対象の体型や褥瘡状態に応じたポジショニングを選択すべきであり,推奨度C1とした。
【文献】