(旧版)褥瘡予防・管理ガイドライン(第3版)
ガイドライン各論
CQ9 体位変換・ポジショニング
【CQ 9.2】
体圧分散マットレスを使用する場合,何時間ごとの体位変換が褥瘡予防に有効か
【推奨文・推奨度】
体圧分散マットレスを使用する場合,何時間ごとの体位変換が褥瘡予防に有効か
【推奨文・推奨度】
① | 粘弾性フォームマットレスを使用する場合には,体位変換間隔は4時間を超えない範囲で行ってもよい。 [推奨度C1] |
② | 上敷二層式エアマットレスを使用する場合には,体位変換間隔は4時間を超えない範囲で行ってもよい。 [推奨度C1] |
【解説】
ナーシングホーム入所患者を対象としたランダム化比較試験が2編1,2)ある。対象者を,標準マットレス下での2時間および3時間体位変換群,体圧分散マットレス(厚さ15cmの粘弾性フォーム)を用いた4時間および6時間体位変換群に割り付け,褥瘡発生を比較した1)。4時間体位変換群が有意にグレードII以上の褥瘡発生が少なかった(p=0.002)。また,体圧分散マットレス(厚さ7cmの粘弾性フォーム)を用い,対照群(側臥位2時間,仰臥位4時間)と実験群(仰・側臥位4時間)を比較した研究2)では,両群間で褥瘡発生率に有意差はなかった。これらの研究の対象者は,わが国の褥瘡発生リスク者とは体格も異なり,安易に適用することにはリスクが伴い褥瘡を予防することも完全には保証できない。一方,わが国では療養型医療施設入院患者を対象としたケース・コントロール研究3)がある。上敷二層式エアマットレスに臥床した患者を対象に体位変換間隔を2時間以上とし,2時間・4時間・5時間後に皮膚発赤の有無を観察している。その結果4時間後までに発赤例はなく,5時間後に50%の対象者に発赤を認めた。
NPUAP/EPUAPガイドライン4)では「体位変換の頻度は,患者および体圧分散マットレスによって変化する」と記載されている。したがって,いずれのエビデンスも特定集団の特定の体圧分散マットレスを使用した場合の結果であることから,推奨度C1とした。
【文献】