(旧版)褥瘡予防・管理ガイドライン(第3版)

 
ガイドライン各論

CQ8 スキンケア

発生後ケア
【CQ 8.5】
褥瘡治癒促進のために,褥瘡周囲皮膚の洗浄は有効か

【推奨文】
弱酸性洗浄剤による洗浄を行ってもよい。

【推奨度】 C1

【解説】
創周囲皮膚は,水に不溶性の蛋白質や脂質などの汚れが含まれているため,健常皮膚と同様に洗浄する必要がある1)。褥瘡周囲皮膚の洗浄を生理食塩水使用群と弱酸性洗浄による洗浄剤使用群とで褥瘡治癒期間を比較した調査2)では,すべての褥瘡ステージで洗浄剤使用群の治癒期間が短縮していた。さらに,ステージII褥瘡では洗浄剤使用群は生理食塩水使用群と比較し,1.79倍早く治癒していた。
どのような種類の洗浄剤が褥瘡の治癒を促進するかについては,報告はない。ただし,弱酸性の洗浄剤とセラミド含有の弱酸性洗浄剤の創周囲皮膚への影響を比較した調査では,セラミド洗浄剤では鱗屑や菌が減少し,セラミド量の減少が抑えられていた3)。したがって,皮膚の生理機能を正常に保つことが創周囲からの上皮化を妨げないとするならば,石鹸より弱酸性の洗浄剤,さらに皮膚保護成分配合の洗浄剤を選択することが望ましいといえる。以上より,褥瘡治癒促進のために,褥瘡周囲皮膚は弱酸性洗浄剤で洗浄を行ってもよいとして推奨度C1とした。

【文献】
1) Konya C, Sanada H, Sugama J, et al:Skin debris and micro-organisms on the periwound skin of pressure ulcers and the influence of periwound cleansing on microbial flora. Ostomy Wound Manage, 51(1): 50-59, 2005.
2) Konya C, Sanada H, Sugama J, et al:Dose the use of a cleanser on skin surrounding pressure ulcers in older people promote healing?. J Wound Care, 14(4): 169-171, 2005.(レベルIII)
2) 石川伸二, 冨樫博靖, 田村成, ほか:合成セラミド含有皮膚洗浄剤の褥瘡周囲皮膚への影響. 褥瘡会誌, 5(3):508-514, 2003.


 

 
ページトップへ

ガイドライン解説

close-ico
カテゴリで探す
五十音で探す

診療ガイドライン検索

close-ico
カテゴリで探す
五十音で探す