(旧版)褥瘡予防・管理ガイドライン(第3版)
ガイドライン各論
CQ8 スキンケア
予防ケア
【解説】
失禁は浅い褥瘡(部分層創傷)の発生と関係がある。失禁患者を対象に洗浄剤に石鹸と弱酸性の洗浄剤を使用し,褥瘡の重症度を比較したランダム化比較試験がある。この試験では,洗浄剤を用いるとグレードI褥瘡(皮膚欠損のない褥瘡)が有意に減少した1)。皮膚洗浄のみと皮膚洗浄後に肛門・外陰部から周囲皮膚に皮膚保護剤(クリーム,スプレー)を使用したときの褥瘡発生率を比較した非ランダム化比較試験が2編2,3),ヒストリカル・コントロール試験が1編4)ある。いずれも褥瘡発生率が低下したが,統計学的有意差が得られなかった研究もあった3)。長期療養施設に入所している136名を対象に,洗浄と皮膚保護剤を用いるというケア導入前後の皮膚障害の実態を比較した調査では,皮膚障害の保有者は68名から40名に減少し,ステージI,IIの褥瘡発生率は19.9%から8.1%(p<0.01)に減少した5)。なお,文献中に使用しているスキンケア製品は国内では扱われていないものが含まれているが,同類の洗浄剤や皮膚保護剤のクリーム,スプレーは国内で入手可能である。
以上より,洗浄剤による洗浄後に,肛門・外陰部から周囲皮膚へ皮膚保護のためのクリーム等の塗布を行ってもよいとして推奨度C1とした。
【文献】
【CQ
8.1】
尿・便失禁がある場合,褥瘡発生予防にどのようなスキンケアを行うとよいか
【推奨文】
洗浄剤による洗浄後に,肛門・外陰部から周囲皮膚へ皮膚保護のためのクリーム等の塗布を行ってもよい。
【推奨度】 C1
尿・便失禁がある場合,褥瘡発生予防にどのようなスキンケアを行うとよいか
【推奨文】
洗浄剤による洗浄後に,肛門・外陰部から周囲皮膚へ皮膚保護のためのクリーム等の塗布を行ってもよい。
【推奨度】 C1
【解説】
失禁は浅い褥瘡(部分層創傷)の発生と関係がある。失禁患者を対象に洗浄剤に石鹸と弱酸性の洗浄剤を使用し,褥瘡の重症度を比較したランダム化比較試験がある。この試験では,洗浄剤を用いるとグレードI褥瘡(皮膚欠損のない褥瘡)が有意に減少した1)。皮膚洗浄のみと皮膚洗浄後に肛門・外陰部から周囲皮膚に皮膚保護剤(クリーム,スプレー)を使用したときの褥瘡発生率を比較した非ランダム化比較試験が2編2,3),ヒストリカル・コントロール試験が1編4)ある。いずれも褥瘡発生率が低下したが,統計学的有意差が得られなかった研究もあった3)。長期療養施設に入所している136名を対象に,洗浄と皮膚保護剤を用いるというケア導入前後の皮膚障害の実態を比較した調査では,皮膚障害の保有者は68名から40名に減少し,ステージI,IIの褥瘡発生率は19.9%から8.1%(p<0.01)に減少した5)。なお,文献中に使用しているスキンケア製品は国内では扱われていないものが含まれているが,同類の洗浄剤や皮膚保護剤のクリーム,スプレーは国内で入手可能である。
以上より,洗浄剤による洗浄後に,肛門・外陰部から周囲皮膚へ皮膚保護のためのクリーム等の塗布を行ってもよいとして推奨度C1とした。
【文献】