(旧版)褥瘡予防・管理ガイドライン(第3版)
ガイドライン各論
CQ4 全身管理
【CQ 4.7】
褥瘡治癒を遷延させる危険因子として,どのような基礎疾患を考慮すればよいか
【推奨文】
悪性腫瘍,心血管疾患などを考慮する。
【推奨度】 C1
褥瘡治癒を遷延させる危険因子として,どのような基礎疾患を考慮すればよいか
【推奨文】
悪性腫瘍,心血管疾患などを考慮する。
【推奨度】 C1
【解説】
慢性皮膚潰瘍を含む褥瘡の治癒に影響する因子として,基礎疾患について記載されたエビデンスを収集した。大部分がエキスパートオピニオンや症例報告であり,分析疫学的研究は,症例対照研究2編1,2)のみである。
褥瘡患者を対象としたコホート研究1)では,心血管疾患群において有意に治癒率が低かった。褥瘡を含む慢性皮膚潰瘍を持つ担癌患者を対象としたコホート研究2)では,担癌群は非担癌群よりも有意に治癒率が低かった。なお,わが国のエキスパートオピニオン3)では,悪性腫瘍,肝硬変,糖尿病,末梢血管疾患などのコントロールが不良の場合,褥瘡が難治化すると記載されている。
以上の報告より,褥瘡の治癒を遷延させる代表的な基礎疾患として,悪性腫瘍と心血管疾患を考慮する。分析疫学的研究が少ないため具体的に疾患をあげることがむずかしいが,全身状態の悪化を伴うような重篤な基礎疾患を有する褥瘡患者の場合には,基礎疾患のコントロールと栄養管理を含む全身管理を実施することが褥瘡を早期に治癒させるために重要である。
【文献】