(旧版)褥瘡予防・管理ガイドライン(第3版)

 
ガイドライン各論

CQ3 外科的治療

【CQ 3.5】
どのような場合に外科的再建術の適応となるか

【推奨文・推奨度】
保存的治療に反応しない,皮下組織よりも深層に達した褥瘡に対して外科的再建術を行ってもよい。 [推奨度C1]
創の周囲組織が陳旧化・瘢痕化している場合には外科的再建術を行ってもよい。 [推奨度C1]
骨髄炎の治療として外科的切除・皮弁による外科的再建を行ってもよい。 [推奨度C1]

【解説】
一般創傷を対象とする外科的閉鎖(植皮および直接縫合)においては,感染を伴わない状態で行うべきとするコホート研究を2編1,2)認めた。褥瘡を対象としたものではないが,手術適応に関し価値のあるエビデンス論文と思われる。
外科的再建術の局所的な手術適応は,皮下組織より深層に達した褥瘡である3)。褥瘡好発部位で皮下組織を超えた褥瘡の潰瘍底には骨皮質,靱帯・関節包,腱等の血流に乏しい組織が露出している。保存的治療に対して反応しない場合には,漫然と保存的治療を継続するのではなく常に再建手術の適応について検討しておくべきである4)
創の周囲が強く陳旧化・瘢痕化している場合,保存的治療ではそれ以上の改善が期待しにくい5)。この場合,瘢痕を外科的に除去した際には,皮下組織よりも深層に達した皮膚欠損創となり,外科的再建術を積極的に検討する。
骨髄炎を伴う場合も,その腐骨を外科的除去したあとには,骨に達する皮膚欠損創となる。外科的再建術を積極的に検討してもよい6)

【文献】
1) Krizek TJ, Robson MD, Kho E:Bacterial growth and skin graft survival. Surg Forum, 18:518-519, 1967. (レベルI)
2) Robson MC, Lea CE, Dalton JB, et al:Quantitative bacteriology and delayed wound closure. Surg Forum, 19:501-502, 1968.(レベルI)
3) Disa JJ, Carlton JM, Goldberg NH:Efficacy of operative cure in pressure sore patients. Plast Reconstr Surg, 89(2):272-278, 1992.(レベルIV)
4) 茂木定之:褥瘡治療の経験とそれに基づく褥瘡治療への取り組み方について.褥瘡会誌, 2(1):57-64, 2000.(レベルV)
5) Ichioka S, Ohura N, Nakatsuka T:Benefits of surgical reconstruction in pressure ulcers with a non-advancing edge and scar formation. J Wound Care, 14(7):301-305, 2005.(レベルV)
6) Whitney J, Phillips L, Aslam R:Guidelines for the treatment of pressure ulcers. Wound Repair Regen, 14(6):663-679, 2006.


 

 
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