(旧版)褥瘡予防・管理ガイドライン(第3版)
ガイドライン各論
CQ2 ドレッシング材
【CQ 2.12】
肉芽が十分に形成され創の縮小をはかる場合,どのようなドレッシング材を用いたらよいか
【推奨文・推奨度】
肉芽が十分に形成され創の縮小をはかる場合,どのようなドレッシング材を用いたらよいか
【推奨文・推奨度】
① | 銀含有ハイドロファイバー®,アルギン酸Ag,アルギン酸塩を用いることが勧められる。 [推奨度B] |
② | ハイドロコロイド,ハイドロジェル,ハイドロポリマー,ポリウレタンフォーム,ポリウレタンフォーム/ソフトシリコン,アルギン酸フォーム,キチン,ハイドロファイバー®,アルギン酸/CMCを創からの滲出液の程度により選択し用いてもよい。 [推奨度C1] |
【解説】
銀含有ハイドロファイバー®についてのシステマティック・レビューが1編1)あり,短期的には創の縮小に効果があるが,治癒促進効果については使用を推奨する根拠に乏しいと結論付けており,推奨度はBとした。
アルギン酸Agは創の縮小に効果があるとするランダム化比較試験が1編2)ある。銀含有アルギン酸/CMCと銀を含有しないアルギン酸/CMCを比較して,銀含有アルギン酸/CMCがアルギネート材単独の製品よりも,創面積が有意に縮小し(p=0.017),治癒促進効果の効果があると結論付けていることから推奨度はBとした。
アルギン酸塩は創の縮小に効果があるとするシステマティック・レビュー3)があるが,レビューでは創縮小効果に関する結論は記載されていない。ランダム化比較試験4)では,アルギン酸塩とデキストラノマーペーストを比較した結果,アルギン酸塩の創面積が縮小した。また,4週間アルギン酸塩を使用し,つぎの4週間をハイドロコロイドとした併用群と,8週間ハイドロコロイドを使用した単独群の創面積を比較したところ,前者が有意に縮小した(p<0.01)ことから推奨度はBとした。
以上の報告から,肉芽が十分に形成され創の縮小をはかる場合,銀含有ハイドロファイバー®,アルギン酸Ag,アルギン酸塩を用いることが勧められる。
ハイドロコロイドについて,創の縮小には生食ガーゼより効果があるとするシステマティック・レビュー1編5)ある。生食ガーゼドレッシング法との比較において,ハイドロコロイドは創の縮小に優れているとしている。しかし,アルギン酸塩,ハイドロジェル,ポリウレタンフォームとは有意な差がみられないため,ほかのドレッシング材と同様に推奨度をC1とした。
その他のドレッシング材ハイドロジェル,ハイドロポリマー,ポリウレタンフォーム,についてはランダム化比較試験があるが,いずれも創縮小に関するエビデンスは得られていない。また,ポリウレタンフォーム/ソフトシリコン,アルギン酸フォーム,キチン,ハイドロファイバー®,アルギン酸/CMCについては症例報告のみであり推奨度をC1とした。
以上の報告から,ハイドロコロイド,ハイドロジェル,ハイドロポリマー,ポリウレタンフォーム,ポリウレタンフォーム/ソフトシリコン,アルギン酸フォーム,キチン,ハイドロファイバー®,アルギン酸/CMCを創からの滲出液の程度により選択し,用いてもよい。
【文献】