(旧版)褥瘡予防・管理ガイドライン(第3版)

 
ガイドライン各論

CQ2 ドレッシング材

【CQ 2.7】
滲出液が多い場合,どのようなドレッシング材を用いたらよいか

【推奨文・推奨度】
過剰な滲出液を吸収保持するポリウレタンフォームを用いることが勧められる。 [推奨度B]
皮下組織に至る創傷用と筋・骨に至る創傷用ドレッシング材のアルギン酸/CMC,ポリウレタンフォーム/ソフトシリコン,アルギン酸塩,アルギン酸フォーム,キチン,ハイドロファイバー®,ハイドロポリマーを用いてもよい。 [推奨度C1]

【解説】
ポリウレタンフォームに関して記載のあるシステマティック・レビュー1)では,アウトカムとしての滲出液吸水性に関する有効性の結論は出ていない。しかしながら,ポリウレタンフォームとハイドロコロイドを比較したランダム化比較試験2)が1編あり,滲出液吸収力においてポリウレタンフォームはハイドロコロイドよりも有意に優れていた(p<0.001)ことから推奨度Bとした。
一方,アルギン酸/CMC(carboxymethylcellulose),ポリウレタンフォーム/ソフトシリコン,アルギン酸塩,アルギン酸フォーム,キチン,ハイドロファイバー®,ハイドロポリマーにはエビデンスレベルの高い論文が少なく推奨度C1とした。
銀含有アルギン酸/CMCと銀を含有しないアルギン酸/CMCを中等量から多量の滲出液を伴う36例の褥瘡と静脈性下腿潰瘍に用いたランダム化比較試験3)があり,銀含有アルギン酸/CMCの創面積は有意に縮小した(p=0.017)。しかしながら,滲出液吸水性を評価していないことから推奨度C1とした。
滲出液吸収に関してポリウレタンフォーム/ソフトシリコンとハイドロポリマーを比較したランダム化比較試験が1編4)あり,両群間において,滲出液量に差はみられなかったが,ポリウレタンフォーム/ソフトシリコンのほうがハイドロポリマーよりも周囲の皮膚障害と浸軟,組織損傷は少なかったとしている(p<0.05)。両群間の滲出液量に差がないことから推奨度をC1とした。
アルギン酸塩,アルギン酸フォーム,キチン,ハイドロファイバー®,ハイドロポリマーに関しては,症例報告のみであり推奨度はC1とした5-10)

【文献】
1) Heyneman A, Beele H, Vanderwee K, et al:A systematic review of the use of hydrocolloids in the treatment of pressure ulcers. J Clin Nurs, 17(9): 1164-1173, 2008.(レベルI)
2) Bale S, Squires D, Varnon T, et al:A comparison of two dressings in pressure sore management. J Wound Care, 6(10):463-466, 1997.(レベルII)
3) Beele H, Meuleneire F, Nahuys M, et al:A prospective randomized open label study to evaluate the potential of a new silver alginate/carboxymethylcellulose antimicrobial wound dressing to promote wound healing. Int Wound J, 7(4):262-270, 2010. (レベルII)
4) Maume S, Van De Looverbosch D, Heyman H, et al: A study to compare a new self-adherent soft silicone dressing with a self-adherent polymer dressing in stage Ⅱ pressure ulcers. Ostomy Wound Manage, 49 (9):44-51, 2003.(レベルII)
5) 原田昭太郎, 中西浩, 川端康浩:ソーブサン(アルギン酸カルシウム繊維)の皮膚潰瘍に対する臨床効果. 臨床医薬, 10(2):473-495, 1994.(レベルV)
6) 塚田邦夫:褥瘡肉芽形成期におけるスポンジ状アルギン酸ゲル化創傷被覆材の使用経験. 褥瘡会誌, 5 (1):27-32, 2003.(レベルV)
7) 上山武郎:綿状キチンによる褥瘡の治療. 新薬と臨床, 43(2):291-299, 1994.(レベルV)
8) Coutts P, Sibbald R:The effect of a silver-containing Hydrofiber®dressing on superficial wound bed and bacterial balance of chronic wounds. Int Wound J, 2 (4):348-356, 2005.(レベルV)
9) Parish LC, Dryjski M, Cadden S:Prospective clinical study of a new adhesive Gelling foam dressing in pressure ulcers. Int Wound J, 5(1):60-67, 2008. (レベルV)
10) 大浦武彦:新しいハイドロポリマードレッシングの使用経験. 褥瘡会誌, 4(1):105-110, 2002.(レベルV)


 

 
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