(旧版)褥瘡予防・管理ガイドライン(第3版)
ガイドライン各論
CQ2 ドレッシング材
【CQ 2.6】
疼痛を伴う場合にドレッシング材は有効か
【推奨文】
ドレッシング材には創部の疼痛を除去する効果はないが,創面を適切な湿潤環境に保つことで疼痛を緩和できる。ドレッシング材を交換する際には,痛みのアセスメントを十分に行い,ハイドロコロイド,ポリウレタンフォーム,ポリウレタンフォーム/ソフトシリコン,ハイドロファイバー®,キチン,ハイドロジェルを用いてもよい。
【推奨度】 C1
疼痛を伴う場合にドレッシング材は有効か
【推奨文】
ドレッシング材には創部の疼痛を除去する効果はないが,創面を適切な湿潤環境に保つことで疼痛を緩和できる。ドレッシング材を交換する際には,痛みのアセスメントを十分に行い,ハイドロコロイド,ポリウレタンフォーム,ポリウレタンフォーム/ソフトシリコン,ハイドロファイバー®,キチン,ハイドロジェルを用いてもよい。
【推奨度】 C1
【解説】
・ハイドロコロイド
褥瘡に伴う疼痛に関してのシステマティック・レビューが1編1)あるが,疼痛とドレッシング材の関連に関する言及はない。痛みとドレッシング材の関係について言及した文献は横断研究1編2)のみであり,ハイドロコロイドは生食ガーゼ,ポリウレタンフィルムと比較し疼痛緩和に関して有意差を認めており(p<0.02),推奨度はC1とした。
褥瘡は痛みの要因となるので,痛みのアセスメントを十分に行う。ハイドロコロイドは閉鎖環境,湿潤環境により疼痛緩和効果を有する3,4)ので,ドレッシング交換時の疼痛軽減のためハイドロコロイドを用いてもよい。ただし,脆弱な皮膚に使用する場合には慎重に除去し,皮膚の損傷を防ぐ。
・ポリウレタンフォーム
褥瘡に伴う疼痛に関してのランダム化比較試験が2編5,6)ある。1編はハイドロコロイドと比較して交換時の疼痛が少ない(p<0.005)としているが5),もうひとつの文献では,生食ガーゼとポリウレタンフィルムを同時に使用した場合と比較して,剥離時の疼痛や快適性に関して有意差は認められていない6)。そのため推奨度をC1とした。
・ポリウレタンフォーム/ソフトシリコン
ドレッシング材使用時の疼痛を評価した症例報告7)では,93%の患者は剥離時に疼痛がなく,全員が使用時の快適性について満足しており,推奨度C1とした。
・ハイドロファイバー®
褥瘡に伴う疼痛に関して,褥瘡患者23例を対象とした症例報告が1編8)ある。ステージII〜IVの褥瘡を対象として90%以上で痛みを和らげ快適であると評価されているが,ほかのドレッシング材との比較はない。
・キチン
褥瘡患者32例を対象とし,鎮痛効果を評価した症例報告が1編9)ある。鎮痛効果に関しては,評価可能な19例中15例で鎮痛交換に対し有効であったと報告されているが,統計学的有意差の提示はない。
・ハイドロジェル
疼痛時の使用評価を検討した文献はなく,エキスパートオピニオンのみである。
【文献】