(旧版)褥瘡予防・管理ガイドライン(第3版)
ガイドライン各論
CQ2 ドレッシング材
【CQ 2.5】
びらん,浅い潰瘍にはどのようなドレッシング材を用いたらよいか
【推奨文・推奨度】
びらん,浅い潰瘍にはどのようなドレッシング材を用いたらよいか
【推奨文・推奨度】
① | 保険適用のある真皮に至る創傷用ドレッシング材のハイドロコロイドを用いることが勧められる。皮下組織に至る創傷用ドレッシング材のハイドロコロイドを用いてもよいが保険適用外である。 [推奨度B] |
② | 保険適用のある真皮に至る創傷用ドレッシング材のハイドロジェル,ポリウレタンフォームのシートタイプ,アルギン酸フォーム,キチンを用いてもよい。皮下組織に至る創傷用ドレッシング材のハイドロジェル,ハイドロポリマー,ポリウレタンフォーム,ポリウレタンフォーム/ソフトシリコン,アルギン酸塩,キチンを選択肢として考慮してもよいが,保険適用外である。 [推奨度C1] |
【解説】
・ハイドロコロイド
褥瘡の局所療法にハイドロコロイドを使用したシステマティック・レビューが1編1),メタ・アナリシスが1編2)ある。システマティック・レビュー1)では,生食ガーゼドレッシング法と比較して,創傷縮小率,滲出液吸収力,交換が必要とされる期間,交換時の痛み,副作用,費用に関して優れていたが,対象褥瘡にはステージIIIの褥瘡が含まれているため,びらん,浅い潰瘍へ適応した際の有効性は不明である。メタ・アナリシス2)では,生食ガーゼやパラフィンガーゼなど従来のガーゼドレッシングにくらべハイドロコロイドのほうが72%多く治癒する(オッズ比1.72)と述べているものの,褥瘡の深さについては言及されていない。そのため,びらん・浅い潰瘍の場合に特化した結果でないことを考慮して推奨度をBとした。
・ハイドロジェル
治癒率を検討したランダム化比較試験が2編3,4)ある。しかし,生食ガーゼ,ハイドロコロイドとの比較では治癒率に有意差は認められていない。また対象にはステージIII,IVの褥瘡も含まれているため,びらん・浅い潰瘍へ使用した際の有効性については言及しがたい。そのため推奨度はC1とした。
・ハイドロポリマー
治癒率を検討したランダム化比較試験が1編5)ある。ステージII,IIIの褥瘡を対象としたハイドロコロイドとの比較では治癒期間,治癒率に有意差は認められていない。論文は優越性試験としてデザインされたものであるため,ハイドロポリマーの有効性がハイドロコロイドと同等であるとは言及できない。そのため推奨度はC1とした。
・ポリウレタンフォーム
治癒率を検討したランダム化比較試験が1編6)ある。ステージIIの褥瘡を対象とした生食ガーゼドレッシング法との比較では,創の縮小時間に有意差は認められなかったが,交換回数は有意に少ない(p<0.001)結果であった。創縮小効果には差がないことにより推奨度はC1とした。
・ポリウレタンフォーム/ソフトシリコン
治癒率を検討したランダム化比較試験が1編7)ある。ステージIIの褥瘡を対象としているが,ハイドロポリマーとの比較のみで有意差は認められていない7)。そのため推奨度はC1とした。
・アルギン酸フォーム,キチン,アルギン酸塩
びらん・浅い潰瘍への使用を検討した論文はなく,エキスパートオピニオンのみである。
【文献】