(旧版)褥瘡予防・管理ガイドライン(第3版)
ガイドライン各論
CQ1 外用剤
【CQ 1.15】
壊死組織がある場合,どのような外用剤を用いたらよいか
【推奨文】
カデキソマー・ヨウ素,スルファジアジン銀,デキストラノマー,ブロメライン,ポビドンヨード・シュガーを用いてもよい。
【推奨度】 C1
壊死組織がある場合,どのような外用剤を用いたらよいか
【推奨文】
カデキソマー・ヨウ素,スルファジアジン銀,デキストラノマー,ブロメライン,ポビドンヨード・シュガーを用いてもよい。
【推奨度】 C1
【解説】
カデキソマー・ヨウ素にはフィブリノリジン・デオキシリボヌクレアーゼ配合剤,デキストラノマー,デキストランポリマー(基剤)との間で壊死組織除去効果を検討した比較試験がある。フィブリノリジン・デオキシリボヌクレアーゼ配合剤との改善率の比較ではカデキソマー・ヨウ素45.5%,フィブリノリジン・デオキシリボヌクレアーゼ配合剤18.8%で,カデキソマー・ヨウ素が有意に壊死組織除去効果を示した(p>0.01)1)。デキストラノマーとの改善率の比較では,カデキソマー・ヨウ素71.4%,デキストラノマー45.5%で壊死組織除去効果に有意差はみられなかった2)。デキストランポリマー(基剤)との改善率の比較では,カデキソマー・ヨウ素8.3%,デキストランポリマー26.7%で有意な差はみられなかった3)。
スルファジアジン銀にはエキスパートオピニオン以外に壊死組織除去効果を検討した論文はない。基剤に乳剤性軟膏が用いられており,基剤の浸透特性により壊死組織の軟化・融解が生じることで創面の清浄化作用を発揮する4)。
デキストラノマーとブロメラインに関しては壊死組織除去効果について検討した症例報告がある。デキストラノマーでは壊死組織付着の症例が6例から1例に 減少していた5)。
ブロメラインには中等度以上の除去効果があった症例が57%とした試験と72.7%とした試験がある6,7)。
ポビドンヨード・シュガーには塩化リゾチーム軟膏と壊死組織除去効果を検討した比較試験が件,幼牛血液抽出物含有軟膏との比較試験が件ある。幼牛血液抽出物含有軟膏との改善率の比較ではポビドンヨード・シュガー12.5%,幼牛血液抽出物含有軟膏23.1%であり有意な差がみられなかった8)。塩化リゾチーム軟膏との改善率の比較では,ポビドンヨード・シュガー41.7%,塩化リゾチーム軟膏66.7%との試験と9),ポビドンヨード・シュガー34.2%,塩化リゾチーム軟膏31.1%との試験があり10),共に有意な差がみられなかった。また,ポビドンヨード・シュガー投与にてDESIGN点数が減少した症例を後ろ向きに調査したところ,壊死組織とDESIGN点数の減少との間に関連性を見い出せなかった11)。
以上より,壊死組織がある場合に使用する外用剤として,カデキソマー・ヨウ素,スルファジアジン銀,デキストラノマー,ブロメライン,ポビドンヨード・シュガーを推奨度C1とした。
【文献】