(旧版)褥瘡予防・管理ガイドライン(第3版)
ガイドライン各論
CQ1 外用剤
【CQ 1.14】
肉芽が十分に形成され創の縮小をはかる場合,どのような外用剤を用いたらよいか
【推奨文・推奨度】
肉芽が十分に形成され創の縮小をはかる場合,どのような外用剤を用いたらよいか
【推奨文・推奨度】
① | 創の縮小作用を有するアルプロスタジルアルファデクス,アルミニウムクロロヒドロキシアラントイネート,トラフェルミン,ブクラデシンナトリウム,ポビドンヨード・シュガーを推奨する。 [推奨度B] |
② | 酸化亜鉛,ジメチルイソプロピルアズレン,幼牛血液抽出物,リゾチーム塩酸塩を用いてもよい。 [推奨度C1] |
【解説】
アルプロスタジルアルファデクスに関しては,リゾチーム塩酸塩との非盲検のランダム化比較試験(44例)で,創の面積において有意な縮小率の差1)(p<0.05)が認められた。アルミニウムクロロヒドロキシアラントイネートに関しては,幼牛血液抽出物含有軟膏との非盲検のランダム化比較試験(54例)で,有意に創の平均縮小率2)が大きかった(p<0.05)。トラフェルミンに関しては,プラセボと比較した非盲検ランダム化比較試験(119例)で,創の縮小率3)に有意差(p<0.05)を認めている。ブクラデシンナトリウムは,基剤のマクロゴールとのランダム化比較試験(91例)で,創の縮小率4)に有意差(p<0.05)を認めている4)。ポビドンヨード・シュガーは,トラフェルミンと比較したランダム化比較試験(63例)で,同等の創縮小作用5)が認められている。一方,リゾチーム塩酸塩は,ブクラデシンナトリウムとのランダム化比較試験(68例)で,同等の創縮小作用6)が認められている。しかし,いずれの試験においても肉芽が十分に形成されてから創の縮小率を比較しているかどうか不明である。創傷治癒過程を考慮すると,実際の治療では肉芽が十分に形成されてから上皮化をはかるほうが妥当である。
以上の報告および日常診療の現状を鑑み,肉芽が十分に形成され創の縮小をはかる場合に,アルプロスタジルアルファデクス,アルミニウムクロロヒドロキシアラントイネート,トラフェルミン,ブクラデシンナトリウム,ポビドンヨード・シュガーの使用を推奨する。また,酸化亜鉛,ジメチルプロピルアズレン,幼牛血液抽出物,リゾチーム塩酸塩を使用してもよい。
【文献】