(旧版)褥瘡予防・管理ガイドライン(第3版)
ガイドライン各論
CQ1 外用剤
【CQ 1.10】
褥瘡部消毒はどのようにしたらよいか
【推奨文】
洗浄のみで十分であり通常は必要ないが,明らかな創部の感染を認め滲出液や膿苔が多いときには洗浄前に消毒を行ってもよい。
【推奨度】 C1
褥瘡部消毒はどのようにしたらよいか
【推奨文】
洗浄のみで十分であり通常は必要ないが,明らかな創部の感染を認め滲出液や膿苔が多いときには洗浄前に消毒を行ってもよい。
【推奨度】 C1
【解説】
ポビドンヨードの創傷治癒阻害作用と論文の質の高さの関係を検討したシステマティック・レビュー1)によると,ポビドンヨードの使用を勧めないとする論文はin vitro studyやanimal studyに多くみられ,質の高いhuman studyに限って評価すると,ポビドンヨードの使用を支持するものが71%であった。きわめて質の高い論文では使用を支持するものが57%であった。褥瘡の感染兆候の有無と消毒による治癒遅延の関係を示すデータは乏しく,ポビドンヨードが褥瘡の治癒を阻害するという根拠は明らかでない。
1994年のAHCPRガイドライン2)では「感染性褥瘡であっても洗浄剤や消毒薬は必要なく,生理食塩水による洗浄のみで十分である」としていたが,1999年のEPUAPガイドライン3)では明らかな感染があって創部の滲出液や膿苔が異常に多いときには消毒薬の使用が容認されるようになった。
以上より,壊死組織除去と感染制御を目的とした時期といえども,基本的には生理食塩水や水道水などによる洗浄のみで十分であるが,明らかな感染徴候を認めるときには洗浄前にポビドンヨードによる消毒を行ってもよいと考えられる。
【文献】