(旧版)褥瘡予防・管理ガイドライン(第3版)

 
ガイドライン各論

CQ1 外用剤

【CQ 1.9】
褥瘡の洗浄はどのように行えばよいか

【推奨文】
十分な量の生理食塩水または水道水を用いて洗浄する。

【推奨度】 C1

【解説】
褥瘡の洗浄液と洗浄方法を比較した論文に は1件のシステマティック・レビュー1)がある。洗浄液(アロエベラ,塩化銀,デシルグルコシド)を含有する生理食塩水(Vulnopur)で洗浄した創(59例)では,生理食塩水で洗浄した創(74例)と比較してPSST(Pressure Sore Status Tool)スコアが有意に改善した(P=0.025)。一方,水道水(4例)と生理食塩水(4例)を比較した場合には,PSSTスコアに有意差は認められなかった。洗浄法を比較した場合は,渦流を用いて洗浄した創(24例),または渦流を用いないで洗浄した創(18例)の治癒に有意な変化は観察されなかった。生理食塩水で洗浄するときの洗浄量と創面細菌数についての症例対象研究2)(36例)では,洗浄量50mlおよび100mlのときはそれぞれ19症例中6症例,29症例中5症例で菌数の増加がみられたが,洗浄量200mlでは12症例中全症例において菌数の増加がみられなかった。
以上より,洗浄は褥瘡に有効であるが,特定の洗浄液や洗浄法を支持する結論は出せない。十分な量の生理食塩水または水道水を用いることにより洗浄の目的は達成できると考えられる。

【文献】
1) Moore Z, Cowman S:A systematic review of wound cleansing for pressure ulcers. J Clin Nurs, 17(15): 1963-1972, 2008.(レベルI)
2) 大浦武彦, 岩沢篤郎, 桐生眞由美, ほか:生理食塩水洗浄が褥瘡創面細菌数に及ぼす影響(第一報). 褥瘡会誌, 9(2):183-191, 2007.(レベルIV)


 

 
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