(旧版)褥瘡予防・管理ガイドライン

 
第3章 褥瘡の治療


慢性期褥瘡の局所治療 Clinical Questions
浅い褥瘡(d)の場合
1.発赤、水疱、びらん・浅い潰瘍の治療


CQ1 発赤にはどのような外用薬を用いたらよいか

推奨
推奨度 C1 創面保護が大切であり、創面が観察できるドレッシング材での被覆を第一選択とするが、外用薬ではアズレン酸化亜鉛を使用してもよい。


A.アズレン
【エビデンスレベル】
エキスパートオピニオン以外に発赤への効用を検討した論文はなく、エビデンスレベルVIである。

【解説】
  • 基剤の白色ワセリンによる創面保護作用により、創傷治癒を促進する。
  • 抗炎症作用と浮腫抑制作用を有する12とされるが、その作用は弱い。

【参考文献】
1. 山崎英正,他.Guaiazuleneの薬理、特に抗炎症作用とHistamine遊離制御作用.日薬理誌.1985;54:362-77.
2. 宇田昭夫.Guaiazuleneほか2、3抗炎症性薬物の炎症性浮腫に対する制御作用態度.日薬理誌.1960;56:1151-63.



B.酸化亜鉛
【エビデンスレベル】
エキスパートオピニオン以外に発赤への効用を検討した論文はなく、エビデンスレベルVIである。

【解説】
  • 古典的な外用薬ではあるが、基剤の白色ワセリンによる創面保護作用により創傷治癒を促進する。
  • 局所収斂作用、保護作用および軽度の防腐作用を発揮することで炎症を抑えるとともに組織修復を促進する1とされるが、その作用は弱い。

【参考文献】
1. 日本薬局方解説書編集委員会 編.第十四改正日本薬局方 条文と注釈.廣川書店,東京.2001;1257-9.




CQ2 発赤にはどのようなドレッシング材を用いたらよいか

推奨
推奨度 C1 創面保護を目的として、ポリウレタンフィルムを用いてもよい。
推奨度 C1 仮に真皮に至る創傷へ移行する恐れのある発赤や周囲皮膚の損傷が危惧される場合には、機能別分類Aの透明で薄いハイドロコロイドも選択肢として考慮してもよい。

機能別分類(保険償還上の深さによる分類)
ポリウレタンフィルム(包括化)  
皮膚欠損用
創傷被覆材
真皮に至る創傷用(A)  
皮下組織に至る創傷用(B) 標準型(B1)
異形型(B2)
筋・骨に至る創傷用(C)  


A.ハイドロコロイド
【エビデンスレベル】
ハイドロコロイドを発赤へ使用した症例研究12345678910があり、エビデンスレベルVである。しかし、症例は I 度のみを対象としたものではなく、その他のグレードも含まれているため、発赤へ使用した際の有効性については言及しがたい。

【解説】
  • 摩擦、ずれより発赤部位を保護する。
  • 貼付部位の洗浄を行い、清潔な皮膚へ使用する。
  • 貼付後はフィルム材を通して発赤部を観察し、表皮剥離した場合にはびらん・浅い潰瘍の処置に準ずる(CQ6 びらん・浅い潰瘍にはどのようなドレッシング材を用いたらよいかを参照のこと)。
  • 貼用後は1週間を限度に適宜交換する。
  • 発赤部へ予防的に使用する場合には保険適用外となる。

【参考文献】
1. 伊東たづ子,高橋律子,鈴木知栄子,他.褥瘡に対してドレッシング材の計画的応用を試みて.看護実践の科学.1995;20(12):75-80.
2. 朝倉健一,湯元明美,高橋律子,他.褥瘡患者に対するドレッシング材の使用経験.秋田県農村医学会雑誌.1996;40(1〜2):18-22.
3. 橋爪慶人,北谷玲子,敦見真由美,他.褥瘡に対する創傷被覆材(コムフィール)の臨床効果.医学と薬学.1998;39(4):824-30.
4. 鈴木 定.高齢者褥創治療におけるハイドロコロイドドレッシング材の適切な使用法についての検討.Geriatric Medicine. 2002;40(6):843-54.
5. 朝倉健一,高橋律子,鈴木知栄子,他.褥瘡に対するドレッシング材(コムフィール)の有用性に関する研究.医学と薬学.1995;33(1):187-200.
6. 本多純男.脊髄損傷者の褥瘡に対するバリヘーシブの使用経験.Therapeutic Research. 1984;1(5):849-57.
7. 本多純男.脊髄損傷患者の褥瘡に対する創傷被覆剤Comfeel Ulcusの使用経験.薬理と治療.1990;18(6):2459-66.
8. 大谷 清,本多純男,中島広志.1度および2度褥瘡に対するDuoDERM(R) Extra Thinの臨床効果.Progress in Medicine. 1992;12(11):2791-7.
9. 木村哲彦,谷岡達男,鷹野昭士,他.1度および2度褥瘡に対するDuoDERM(R)Extra Thinの臨床評価.Therapeutic Research. 1992;13(12):5025-33.
10. 進藤勝久.カルボキシメチルセルロース含有粘着性皮膚保護剤の褥瘡治療効果に関する臨床的研究.薬理と治療.1990;18(6):2447-58.



B.ポリウレタンフィルム
【エビデンスレベル】
エキスパートオピニオン以外に発赤への効用を検討した論文はなく、エビデンスレベルVIである。

【解説】




CQ3 水疱の場合にはどのような外用薬を用いたらよいか

推奨
推奨度 C1 水疱は破らずそのまま、破れたときにはドレッシング材による被覆を第一選択とするが、外用薬では創の保護目的にアズレン酸化亜鉛を使用してもよい。


A.アズレン
【エビデンスレベル】
エキスパートオピニオン以外に水疱への使用を検討した論文はなく、エビデンスレベルVIである。

【解説】
  • 基剤の白色ワセリンによる創面保護作用により、創傷治癒を促進する。
  • 抗炎症作用と浮腫抑制作用を有する12とされるが、その作用は弱い。
  • 緊満した場合は穿刺することもある。
  • 水疱が破れたときにはびらん・浅い潰瘍の治療に準じる(CQ5 びらん・浅い潰瘍にはどのような外用薬を用いたらよいかを参照のこと)

【参考文献】
1. 山崎英正,他.Guaiazuleneの薬理、特に抗炎症作用とHistamine遊離制御作用.日薬理誌.1958;54:362-77.
2. 宇田昭夫.Guaiazuleneほか2、3抗炎症性薬物の炎症性浮腫に対する制御作用態度.日薬理誌.1960;56:1151-63.



B.酸化亜鉛
【エビデンスレベル】
エキスパートオピニオン以外に水疱への使用を検討した論文はなく、エビデンスレベルVIである。

【解説】
  • 古典的な外用薬ではあるが、基剤の白色ワセリンによる創面保護作用により創傷治癒を促進する。
  • 局所収斂作用、保護作用および軽度の防腐作用を発揮することで炎症を抑えるとともに組織修復を促進する1とされるが、その作用は弱い。

【参考文献】
1. 日本薬局方解説書編集委員会 編.第十四改正日本薬局方 条文と注釈.廣川書店,東京.2001.




CQ4 水疱の場合にはどのようなドレッシング材を用いたらよいか

推奨
推奨度 C1 水疱は破らずそのままにし、創面保護を目的として、ポリウレタンフィルムを用いてもよい。
推奨度 C1 機能別分類Aの透明で薄いハイドロコロイドを用いてもよい。
*機能別分類の表は上記『CQ2 発赤にはどのようなドレッシング材を用いたらよいか』に示した。

A.ハイドロコロイド
【エビデンスレベル】
エキスパートオピニオン以外に水疱への使用を検討した論文はなく、エビデンスレベルVIである。

【解説】



B.ポリウレタンフィルム
【エビデンスレベル】
エキスパートオピニオン以外に水疱への使用を検討した論文はなく、エビデンスレベルVIである。

【解説】
  • 摩擦、ずれより水疱部位を保護する。
  • 貼付部位の洗浄を行い、清潔な皮膚へ使用する。
  • 貼付後はフィルム材の上より水疱を観察し、破れた場合にはびらん・浅い潰瘍の処置に準ずる(CQ6 びらん・浅い潰瘍にはどのようなドレッシング材を用いたらよいかを参照のこと)。
  • 貼用後は1週間を限度に適宜交換する。
  • 緊満した水疱の場合には穿刺する場合もある。




CQ5 びらん・浅い潰瘍にはどのような外用薬を用いたらよいか

推奨
推奨度 C1 創面が観察できるドレッシング材での被覆を第一選択とするが、外用薬では創面保護を目的にアズレン酸化亜鉛を用いてもよい。
推奨度 C1 上皮形成促進を期待して塩化リゾチームブクラデシンナトリウムプロスタグランジンE1を用いてもよい。


A.アズレン
【エビデンスレベル】
エキスパートオピニオン以外にびらん・浅い潰瘍への効用を検討した論文はなく、エビデンスレベルVIである。

【解説】
  • 基剤の白色ワセリンによる創面保護作用により、創傷治癒を促進する。
  • 抗炎症作用と浮腫抑制作用を有する12とされるが、その作用は弱い。

【参考文献】
1. 山崎英正,他.Guaiazuleneの薬理、特に抗炎症作用とHistamine遊離制御作用.日薬理誌.1958;54:362-77.
2. 宇田昭夫.Guaiazuleneほか2、3抗炎症性薬物の炎症性浮腫に対する制御作用態度.日薬理誌.1960;56:1151-63.



B.塩化リゾチーム
【エビデンスレベル】
肉芽形成促進作用に関する3編のランダム化比較試験と創の縮小作用に関する1編のランダム化比較試験があるが、エキスパートオピニオン以外にびらん・浅い潰瘍への効用を検討した論文はなく、エビデンスレベルVIである。

【解説】
  • 創の収縮を期待して用いる。皮膚への刺激性はほとんどない。
  • 表皮細胞の増殖促進作用と線維芽細胞の増殖促進作用を有する。また、ムコ多糖合成を刺激することで創傷治癒を促進する1234
  • 卵白アレルギー患者には注意する。

【参考文献】
1. 石田寛友,井上 肇,河辺邦昭,他.塩化リゾチームのヘアレスラット表皮細胞の増殖に及ぼす影響と作用機序に関する検討.日本形成外科学会会誌.1989;9(4):326-35.
2. Brendolan S. Lysozyme's effect on the healing process of experimental wounds. Proc 2nd Inter Symp on Fleming's lysozyme, Milano. 1961;Vol II:(sec IX):51-63.
3. 高橋信博,向尾正昭.リゾチームの正常ヒト皮膚線維芽細胞に対する作用.基礎と臨床.1984;18(12):6306-11.
4. 高橋信博,深沢一也,川越清隆.KH-101軟膏(リフラップ(R)軟膏)の実験的創傷治癒に対する効果.基礎と臨床.1984;18(12):6312-18.



C.酸化亜鉛
【エビデンスレベル】
エキスパートオピニオン以外にびらん・浅い潰瘍への使用を検討した論文はなく、エビデンスレベルVIである。

【解説】
  • 古典的な外用薬ではあるが、基剤の白色ワセリンによる創面保護作用により創傷治癒を促進する。
  • 局所収斂作用、保護作用および軽度の防腐作用を発揮することで炎症を抑えるとともに組織修復を促進する1とされるが、その作用は弱い。

【参考文献】
1. 日本薬局方解説書編集委員会 編.第十四改正日本薬局方 条文と注釈.廣川書店,東京.2001;1257-9.



D.ブクラデシンナトリウム
【エビデンスレベル】
びらん・浅い潰瘍を対象に含む非ランダム化比較試験が1編1ある。しかし、びらん・浅い潰瘍に対する効果の記載はないので、エビデンスレベルVIである。

【解説】
  • マクロゴール基剤の特性から吸水性に優れるため、滲出液が多いときに使いやすい。
  • 創傷での潰瘍縮小・治癒促進作用による創傷収縮作用23と、局所血流改善作用、血管新生促進作用、肉芽形成促進作用、表皮形成促進作用4567を有する。
  • IL6、TGF-αなどのサイトカインの分泌合成を高めて細胞増殖を惹起する8
  • 肉芽形成促進作用は強いが、使用に際しその特異臭が気になることがある。

【参考文献】
1. 松村都江,海老原全,中山秀夫.アクトシン軟膏の褥瘡,皮膚潰瘍に対する臨床的有用性の検討.西日本皮膚科.1998;60(1):79-87.
2. 笠井義男,田村 清.DT-5621(ジブチリルサイクリックAMP含有軟膏)のラット皮膚熱傷創に対する効果 背部皮膚と腹部皮膚との比較.薬理と治療.1990;18:2919-24.
3. 岩崎利郎,小野承行,山口和政,他.加齢・低蛋白食負荷ラットの欠損創に対するDT-5621の治療効果.皮膚科紀要.1990;85(1):161-8.
4. 岡田忠彦,小屋和子.ブクラデシンNa含有軟膏の創傷後血管再構築に対する影響 鋳型血管法による検討.皮膚科紀要.1990;85(1):119-27.
5. 増沢幹男,大川 司,藤村響男,他.DBcAMPのヒト皮膚微小血管内皮細胞に対する細胞増殖作用の検討.皮膚科紀要.1990;85(3):453-6.
6. Falanga V, et al. Dibutyryl cyclic AMP by itself or in combination with growth factors can stimulate or inhibit growth of human keratinocytes and dermal fi broblasts. Wounds. 1991;3:70-8.
7. Iwasaki T, Chen JD, Kim JP, Wynn KC, Woodley DT. Dibutyryl cyclic AMP modulates keratinocyte migration without alteration of integrin expression. J Invest Dermatol. 1994;102(6):891-7.
8. Zhou LJ, Ono I. Stimulatory effects of dibutyryl cyclic adenosine monophosphate on cytokine production by keratinocytes and fibroblasts. Br J Dermatol. 2000;143(3):506-12.



E.プロスタグランジンE1
【エビデンスレベル】
創の縮小作用に関する塩化リゾチームとのランダム化比較試験はあるが、エキスパートオピニオン以外にびらん・浅い潰瘍への効用を検討した論文はなく、エビデンスレベルVIである。

【解説】
  • 表皮形成促進作用と皮膚血流増加作用、血管新生促進作用により創傷治癒を促進する123。また、油脂性基剤による創面の保護作用を併せ持つ。
  • 角化細胞と線維芽細胞に作用する12。線維芽細胞からのIL6を増加させることで、さらに角化細胞に作用する45
  • 血流改善作用が強い反面、局所の刺激作用がある。

【参考文献】
1. Matsumoto R, Shiroya T, Naka M, Omawari N, Shinomiya K, Fujitani B, Aishita H. Effect of OP-41483.alpha-CD, a prostacyclin analog, on a clamp-induced endothelial injury in rats. Life Sci. 1993;53(11):893-900.
2. Yuzuriha S, et al. Topical application of prostaglandin E1 ointment to cutaneous wounds in ischemic rabbit ears. Eur J Plast Surg. 1999;22:225-9.
3. 白地孝光,松本亮二,松本範人,他.各種実験的創傷モデルにおけるプロスタグランディンE1・α-シクロデキストリン包接化合物(PGE1・CD)含有軟膏の効果.西日本皮膚科.1994;56(3):499-507.
4. Zhang JZ, Maruyama K, Iwatsuki K, Ono I, Kaneko F. Effects of prostaglandin E1 on human keratinocytes and dermal fibroblasts: a possible mechanism for the healing of skin ulcers. Exp Dermatol. 1994;3(4):164-70.
5. 小野一郎,他.Prostaglandinの創傷治癒促進効果の発現機序についての研究.Progress in Medicine. 1994;14(9):2506-8.




CQ6 びらん・浅い潰瘍にはどのようなドレッシング材を用いたらよいか

推奨
推奨度 C1 保険適用のある機能別分類Aのハイドロコロイド、キチン、ハイドロジェルのシートタイプで潰瘍周囲の健康な皮膚面を含めて被覆してもよい。
推奨度 C1 機能別分類B1のハイドロコロイド、ハイドロポリマー、ポリウレタンフォーム、キチン、ハイドロジェルを使用してもよいが保険適用外である。
*機能別分類の表は上記『CQ2 発赤にはどのようなドレッシング材を用いたらよいか』に示した。

A.ハイドロコロイド
【エビデンスレベル】
ハイドロコロイドをびらん・浅い潰瘍へ使用したランダム化比較試験は2編あり12エビデンスレベルIIである。しかし、2編ともに生食ガーゼドレッシング法(wet to wet)との比較論文であり、治癒率には有意差を認めていない。

【解説】
  • 創面の保護作用と創に湿潤環境を維持し創傷治癒を促進する。
  • 閉鎖環境、湿潤環境により疼痛緩和効果を有する34
  • 生食ガーゼドレッシング法(wet to wet)と比較して、処置時間やコストに関しては有意に優れている12
  • 滲出液の状態に応じて適宜交換する。

【参考文献】
1. Colwell JC, Foreman MD, Trotter JP. A comparison of the efficacy and cost-effectiveness of two methods of managing pressure ulcers. Decubitus. 1993;6(4):28-36.
2. Xakellis GC, Chrischilles EA. Hydrocolloid versus saline-gauze dressings in treating pressure ulcers: a cost-effectiveness analysis. Arch Phys Med Rehabil. 1992;73(5):463-9.
3. 橋爪慶人,北谷玲子,敦見真由美,他.褥瘡に対する創傷被覆材(コムフィール)の臨床効果.医学と薬学.1998;39(4):824-30.
4. 朝倉健一,高橋律子,鈴木知栄子,他.褥瘡に対するドレッシング材(コムフィール)の有用性に関する研究.医学と薬学.1995;33(1):187-200.



B.ハイドロポリマー
【エビデンスレベル】
治癒率を比較したランダム化比較試験が2編12あり、エビデンスレベルIIであるが、ハイドロコロイドと比較して有意差はなく、また、浅い潰瘍だけが対象ではない。

【解説】
  • 創部へ湿潤環境を提供する。
  • 過剰な滲出液を速やかに吸収し、創傷周囲の健常皮膚の浸軟を防止する。
  • 窪みのある創傷部位へフィットし滲出液の貯留を防止する。
  • 治癒率はハイドロコロイドと比較して有意差はない12が、ハイドロコロイドよりも少ない交換回数であった2

【参考文献】
1. Motta G, Dunham L, Dye T, Mentz J, O'Connell-Gifford E, Smith E. Clinical efficacy and cost-effectiveness of a new synthetic polymer sheet wound dressing. Ostomy Wound Manage. 1999;45(10):41, 44-6, 48-49.
2. Thomas S, Banks V, Bale S, Fear-Price M, Hagelstein S, Harding KG, Orpin J, Thomas N. A comparison of two dressings in the management of chronic wounds. J Wound Care. 1997;6(8):383-6.



C.ポリウレタンフォーム
【エビデンスレベル】
治癒率を検討したランダム化比較試験は4編1234あり、エビデンスレベルIIであるが、ハイドロコロイド、ハイドロポリマー、ハイドロジェル、生食ガーゼドレッシング法(wet to wet)と比較して有意差はなかった。また、浅い潰瘍だけが対象ではなかった。

【解説】
  • 自重の約10倍、ハイドロコロイドの約4倍の吸水力がある。
  • 余分な滲出液を中間層の親水性フォームで保持し、創面の湿潤環境を形成する。
  • 皮膚面は非固着性ポリウレタンのため、創および創周囲皮膚を損傷しない。またドレッシング材が滲出液により崩壊しないため、創に残渣を残さない。
  • 治癒率以外の比較では、4つのランダム化比較試験2345があり、ハイドロコロイドと比較して吸収力がある5、疼痛や快適性に関して有意差がない23、ハイドロコロイドよりも交換時の疼痛がなく剥がしやすい4とした論文がある。

【参考文献】
1. Maume S, Van De Looverbosch D, Heyman H, Romanelli M, Ciangherotti A, Charpin S. A study to compare a new self-adherent soft silicone dressing with a self-adherent polymer dressing in stage II pressure ulcers. Ostomy Wound Manage. 2003;49(9):44-51.
2. Seeley J, Jensen JL, Hutcherson J. A randomized clinical study comparing a hydrocellular dressing to a hydrocolloid dressing in the management of pressure ulcers. Ostomy Wound Manage. 1999;45(6):39-44, 46-7.
3. Banks V, et al. Superfi cial pressure sores: comparing two regimes. J Wound Care. 1994;3:8-10.
4. Banks V, et al: The use of two dressings for moderately exuding pressure sores. J Wound Care. 1994;3:132-4.
5. Bale S, Squires D, Varnon T, Walker A, Benbow M, Harding KG. A comparison of two dressings in pressure sore management. J Wound Care. 1997;6(10):463-6.



D.キチン
【エビデンスレベル】
エキスパートオピニオン以外にびらん・浅い潰瘍への使用を検討した論文はなく、エビデンスレベルVIである。

【解説】
  • 吸水性および吸着性の作用により、創面の清浄化に有用である。
  • 肉芽形成促進、鎮痛、止血効果が報告されている。



E.ハイドロジェル
【エビデンスレベル】
エキスパートオピニオン以外にびらん・浅い潰瘍への使用を検討した論文はなく、エビデンスレベルVIである。

【解説】
  • 創面の保護作用と創に湿潤環境を維持し創傷治癒を促進する。
  • 閉鎖環境、湿潤環境により疼痛緩和効果を有する。
  • 滲出液の状態に応じて適宜交換する。

 

 
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