(旧版)褥瘡予防・管理ガイドライン

 
序文


16.定義
1)褥瘡:本ガイドラインにおける褥瘡とは、以下のように定義される。
「身体に加わった外力は骨と皮膚表層の間の軟部組織の血流を低下、あるいは停止させる。この状況が一定時間持続されると組織は不可逆的な阻血性障害に陥り褥瘡となる。」褥瘡はその損傷の深さにより4ないし5のステージに分類される。褥瘡の好発部位は、皮下脂肪組織が少なく、生理的に骨が突出している後頭部、肩甲部、肘頭部、仙骨部、腸骨部、大転子部、坐骨部、踵骨部などである。
褥瘡の深達度分類としては、NPUAPのステージ分類、EPUAPのグレード分類、日本褥瘡学会のDESIGN分類などがあるが、本ガイドラインの推奨事項においてはすべてDESIGN分類の表記に統一した。ステージ分類、グレード分類の詳細は、「褥瘡の深達度分類」に示した。
2)予防:本ガイドラインにおける予防とは、褥瘡発生の危険性(リスク)を評価し、そのリスクに応じた褥瘡予防ケアを実施することをいう。また、褥瘡予防ケアとは、褥瘡を予防する(発生させない)ケアと、仮に褥瘡が発生したとしても褥瘡を悪化させないためのケアも予防の範疇であるので、褥瘡発生後のケアとした。具体的な項目には、皮膚の観察、体位変換(体圧分散用具の使用を含む)、栄養アセスメント、リハビリテーション、スキンケア、患者教育を含む。
3)外用薬:本ガイドラインにおける外用薬とは、皮膚を通して、あるいは、皮膚病巣に直接加える局所治療に用いる薬剤であり、基剤に各種の主剤を配合して使用するものをいう。
4)ドレッシング材:本ガイドラインにおけるドレッシング材とは、創における湿潤環境形成を目的とした近代的な創傷被覆材をいい、従来の滅菌ガーゼは除く。
5)外科的治療:本ガイドラインにおける外科的治療とは、手術療法と外科的デブリードマンおよび皮下ポケットに対する観血的処置をいう。
6)物理療法:本ガイドラインにおける物理療法とは、生体に物理的刺激手段を用いる療法をいう。物理的手段には、熱、水、光線、極超短波、電気、超音波、振動、圧、牽引などの物理的エネルギーがある。物理療法には温熱療法、寒冷療法、水治療法、光線療法、極超短波療法、電気刺激療法、超音波療法、陰圧閉鎖療法、高圧酸素療法、牽引療法などがある。疼痛の緩和、創傷の治癒促進、筋・靭帯などの組織の弾性促進などを目的に物理療法が行われる。
その他、特に必要な場合は各論で定義を記載した。

 

 
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