(旧版)褥瘡予防・管理ガイドライン

 
序文


2.焦点
褥瘡治療を進める際には、褥瘡の発生原因を徹底して除去することがきわめて重要である。これを怠ると、たとえ適切な局所治療を行おうとも、褥瘡の改善は望めないことを銘記すべきである。今回のガイドラインで扱う予防機器や用具は日本で購入可能な製品、外用薬とドレッシング材は本邦で薬事上認められているものに限定した。また、物理療法については、海外では質の高いエビデンスにより有効性が示されているが日本では認められていない、あるいは国内での使用経験が乏しい方法なども併せて検討対象とし、本邦での実情も勘案した上でエビデンスに基づいて推奨度を示した。その際、予防に関しては、褥瘡予防に関するアルゴリズム(意思決定図・手順)としてのフローチャートに基づき、皮膚の観察から予防技術までを考慮し必要な項目を論理的に抽出し、この項目に照らしたClinical Questions(CQ:臨床上の疑問)を設定した。治療に関しては、日本褥瘡学会が提唱した褥瘡状態評価法であるDESIGNに準拠した形でCQを設定した。なお、EBMに基づいた診療ガイドラインの基本構造は、「臨床上の疑問の明確化」、「エビデンスの検索・評価」および「推奨度の決定」の3段階からなる。また、CQは、患者:疾患/病態を含む(patient)、予想因子:介入、危険因子(intervention/exposure)、比較対照(comparison)、アウトカム(outcome)を含むことから、その頭文字を取ってPICOとも呼ばれる。
なお、本ガイドラインの中で公表したDESIGN-R(2008年改訂版DESIGN-R褥瘡経過評価用)は、従来のDESIGNツールの重み付けから、妥当性の高い重み付け(scoring)に変更した改訂版である。これにより、治療法の決定ばかりでなく、その評価も的確に行える。つまり各患者の褥瘡経過をモニタリングするだけでなく、患者間の褥瘡の重症度も比較することができる。

 

 
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