(旧版)前立腺癌診療ガイドライン 2012年版

 
9.ホルモン療法
CQ7 去勢抵抗性前立腺癌に対するanti-androgen withdrawal syndrome(AWS)の確認ならびに非ステロイド性抗アンドロゲン薬の交替療法は推奨されるか?
推奨グレード B
去勢抵抗性前立腺癌に対するAWS の確認は,有効性・効果持続期間が比較的限られるが,長期間にわたって効果が持続する症例もあり,日常臨床でも推奨される。
推奨グレード B
去勢抵抗性前立腺癌に対する非ステロイド性抗アンドロゲン薬の交替療法は,副作用が少なく一定の有効性が期待できる。特に初回CAB療法の反応性が良好な症例では,推奨される。

背景・目的
【AWS の確認】
CAB療法で使用される抗アンドロゲン薬を中止することで,PSAの低下や病状の改善が認められることがある。このanti-androgen withdrawal syndrome(AWS)の有効性を評価する。
【交替療法】
CAB療法で使用される抗アンドロゲン薬を,別の抗アンドロゲン薬に変更することで,PSAの低下や病状の改善が認められることがある。この有効性を評価する。
解説
【AWS の確認】
CAB療法で治療中にPSA上昇を認めた場合に,抗アンドロゲン薬のみを中止することでPSA低下や病勢の改善を認めるAWS は,アンドロゲン受容体の変異などによって使用していた抗アンドロゲン薬がagonistic に作用することで引き起こされると考えられている1,2)
AWS の頻度は,PSA が50%以上低下する症例の割合が11~36%とされるが,ステロイド性抗アンドロゲン薬で多い。世界的にCAB療法で頻用される非ステロイド性抗アンドロゲン薬では11~16%程度で,平均PSA低下期間は半年程度とする報告が多い3,4)。ただし,2年以上AWS が継続するような症例も報告されている5)
Suzuki らによれば,AWS の有無は二次ホルモン療法の予測因子にはならないものの,進行性前立腺癌の予後因子であったと報告されている3)。SWOGの前向き試験では,AWS の発生を予測する因子として,抗アンドロゲン薬の使用期間が長い症例に多いとされる1)。つまり,AWS を認めた症例での一定の治療的意義はあることから,現状ではAWS の有無が完全に予測できないものの,初回CAB療法の奏効期間が長かった症例では,AWS の有無を評価することが推奨される。
【交替療法】
CAB療法で治療中にPSA上昇を認めた場合に,別の抗アンドロゲン薬へ変更することで,PSA低下や病勢の改善を認める交替療法は,非ステロイド性抗アンドロゲン薬で有効である。その機序は,抗アンドロゲン薬の作用機序の相違に基づく2,3)
セカンドラインの非ステロイド性抗アンドロゲン薬の投与により,30~50%の症例で,PSA 50%以上の低下が認められる。何らかのPSA反応が得られる症例は,60~65%と報告されている3,6,7)
Suzuki らによれば,非ステロイド性抗アンドロゲン交替療法で,PSA反応が認められた症例は,その後の予後が有意によいことが示されている3)。Okegawa らは,セカンドラインの抗アンドロゲン薬でPSA 30%以上の低下がみられるとよい長期的予後が得られると報告している7)。また,Miyake ら6),Suzuki ら3)によれば,抗アンドロゲン交替療法の有効性を予測する因子として,初回CAB療法での反応性・臨床病期があげられる。
現状では去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)に対する治療手段が限られていることから,初回CAB療法の反応性の良好な症例では,非ステロイド性抗アンドロゲン交替療法の施行が推奨される。
参考文献
1) Sartoe AO, Tangen CM, Hussain MH, et al. Antiandrogen withdrawal in castrate-refractory prostate cancer. A Southwest Oncology Group Tria(l SWOG 9426)Cancer. 2008; 112: 2393-400. (Ⅱ)
2) Hara T, Miyazaki J, Araki H, et al. Novel mutations of androgen receptor:A possible mechanism of bicalutamide withdrawal syndrome. Cancer Res. 2003; 63: 149-53. (Ⅵ)
3) Suzuki H, Okihara K, Miyake H, et al. Alternative nonsteroidal antiandrogen therapy for advanced prostate cancer that relapsed after initial maximum androgen blockade. J Urol. 2008; 180: 921-7. (Ⅳb)
4) Akaza H, Hinotsu S, Usami M, et al. Combined androgen blockade with bicalutamide for advanced prostate cancer. Cancer. 2009; 115: 3437-45. (Ⅱ)
5) Noguchi K, Teranishi J, Uemura H, et al. Complete response, as determined by prostate- specific antigen level, to chlormadinone acetate withdrawal persisting longer than 2 years in patients with advanced prostate cancer:two case reports. Int J Urol. 2006; 13: 1259-61. (Ⅴ)
6) Miyake H, Hara I, Eto H. Clinical outcome of maximum androgen blockade using flutamide as second-line hormonal therapy for hormone-refractory prostate cancer. BJU Int. 2005; 96: 791-5. (Ⅳb)
7) Okegawa T, Nutahara K, Higashihara E. Alternative antiandrogen therapy in patients with castration-resistant prostate cancer:A single-center experience. Int J Urol. 2010; 7: 950-5. (Ⅴ)


 

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