(旧版)前立腺癌診療ガイドライン 2006年版

 
第8章 緩和医療

 
CQ2  前立腺癌の脊椎転移から脊髄麻痺をきたした場合の対処法は?

推奨グレード B
ステロイドの投与を即座に開始する。放射線療法もしくは手術療法(椎弓切除術)を施行する。

 背 景
脊椎に転移した前立腺癌の場合,腫瘍が増大すると脊髄を圧迫し麻痺を生じることがある。患者は突然の麻痺症状に対し動転することが多い。放置しておくと脊髄麻痺が不可逆性となるため迅速な処置が必要である。診断にはMRIが有用とされている。

 解 説
脊椎転移による脊髄麻痺:治療法としてはステロイド投与,放射線療法,手術療法があげられる。ステロイド投与は放射線あるいは手術の補助療法として用いられ,その効用はRCTにて検証されている1)(II)。しかしながら無視できない副作用も認められており,大量あるいは常用量のステロイドを投与するかはいまだ議論の分かれるところである。放射線療法としては30Gy/10fractionsを照射することが多い。手術療法としては前立腺癌の脊椎転移による脊髄圧迫の場合骨の脆弱性がないため椎弓切除術が主になる。放射線療法と椎弓切除術に関する論文は多いがいずれも後ろ向きの検討でありどちらが有用であるかについては一定の見解がない。放射線療法単独と椎弓切除術とのRCTは1件あるが有効率については有意差が認められなかった2)(II)


 参考文献
1) Sorensen S, Helweg-Larsen S, Mouridsen H, et al. Effect of high-dose dexamethasone in carcinomatous metastatic spinal cord compression treated with radiotherapy:a randomised trial. Eur J Cancer. 1994;30A(1):22-7.
2) Young RF, Post EM, King GA. Treatment of spinal epidural metastases. Randomized prospective comparison of laminectomy and radiotherapy. J Neurosurg. 1980;53(6):741-8.

 

 
ページトップへ

ガイドライン解説

close-ico
カテゴリで探す
五十音で探す

診療ガイドライン検索

close-ico
カテゴリで探す
五十音で探す