(旧版)前立腺癌診療ガイドライン 2006年版

 
第6章 薬物療法

 
CQ2  根治術後のPSA上昇に対して内分泌療法は有効か?

推奨グレード C
内分泌療法の抗PSA効果は期待できる。しかし投与開始時期をいつにすればよいか,生存期間の延長を認めるかどうかの結論は得られていない。

 背 景
根治術後のPSA上昇のみを対象として行われた比較試験は今回の検索対象となった論文の中には認められなかった。現在,日本で無作為化比較試験が進行中である。

 解 説
根治術後のPSA再燃は,StageIVの前立腺癌に比べ腫瘍量は少ないと考えられる。Stage IVの前立腺癌に対する効果を考えれば,病期的にそれより治療が早くできるStage(IIからIII)あるいは根治術後のPSA再燃癌に対する内分泌療法は有効と考えるのが妥当である。海外での前立腺全摘術後のフォローアップ研究では,Gleasonスコアが8以上でPSA倍加時間が12カ月以下の症例に対してはPSA上昇後早期の内分泌療法を行った方が臨床的な転移を認めるまでの期間を延長したとする報告もある1)(III)。現在,日本で無作為化比較試験が行われている2)。この結果が一つのエビデンスとなるであろう。


 参考文献
1) Moul JW, Wu H, Sun L, et al. Early versus delayed hormonal therapy for prostate specific antigen only recurrence of prostate cancer after radical prostatectomy. J Urol. 2004;171(3):1141-7.
2) Yokomizo A, Kawamoto H, Nihei K, et al. Japan Clinical Oncology Group . Randomized controlled trial to evaluate radiotherapy+/-endocrine therapy versus endocrine therapy alone for PSA failure after radical prostatectomy:Japan Clinical Oncology Group Study JCOG 0401. Jpn J Clin Oncol. 2005;35(1):34-6.

 

 
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