(旧版)前立腺癌診療ガイドライン 2006年版
第4章 外科治療
5 限局性前立腺癌に対する前立腺全摘除術の根治性
限局性前立腺癌に対する前立腺全摘除術は最も根治の可能性を有し11),12)(II),現状の手術療法におけるmorbidity,mortality率を考慮すると,他の治療法と比較して手術療法を施行することで著しく生命予後が低下することはないと思われ,前立腺全摘除術の後にも放射線治療あるいは内分泌療法を併用できることが可能であることも相まって,長期生存を期待できる治療法と考えてよい。しかしGleasonスコア2-4の症例では,待期遅延内分泌療法と10年疾患特異的生存率で差が認められず11)(II),13)(III),近年の放射線治療の成績向上と相まって必ずしも手術療法によらなくても同等の成績を得られる可能性がある。手術療法は病態によっては不必要あるいは無駄な治療となる危険性を有しており,最終的に待期遅延内分泌療法,放射線治療と比較して優位であるとの断定的な結論はできない14)(II)。