(旧版)前立腺癌診療ガイドライン 2006年版
第3章 治療総論
7 各治療法の適応基準
(2)T1b-2N0M0
1)T1b-2N0M0,Gleason≦6,PSA≦20ng/ml
根治療法(前立腺全摘除術,放射線療法)およびPSA監視療法が選択肢になる。いずれの場合でも治療開始時で期待余命が10〜15年以上望める場合には根治療法として前立腺全摘除術もしくは放射線療法が,期待余命が10年以下の場合には内分泌療法や放射線療法が選ばれる。
2)T1b-2N0M0,Gleason≧7,PSA≦20ng/ml
Gleason 8以上の限局性前立腺癌に対してPSA監視療法は不適である。期待余命が10〜15年以上望める場合には根治療法(前立腺全摘除術,放射線療法)を考慮した方がよい。ただし低分化型局所前立腺癌において根治療法が生存率に関し有意に良好であることを示した論文はない。
3)T1b-2N0M0,PSA≧20ng/ml
PSAの値のみで治療方針を決めることはできないが20ng/mlを超えるとほとんどの論文でPSA監視療法は対象外である。画像上T1b-2N0M0であってもPSAが20ng/mlを超える場合にはそれ以上の病期(特にT3)である可能性が高いため手術の適応にあたっては慎重に考慮する。特にPSAが100ng/mlを超える場合にはほとんどの症例で遠隔転移が存在すると言われているため根治療法のみで制御することは難しく,かりに根治療法を行ったとしてもその後内分泌療法が必要となる確率は極めて高い。