(旧版)前立腺癌診療ガイドライン 2006年版

 
第3章 治療総論


6 待機療法

(3)限局性前立腺癌に対する待機遅延内分泌療法

次に限局性前立腺癌に対する手術療法と待機遅延内分泌療法との比較が検討された。北欧を中心とした限局性前立腺癌に対する前立腺全摘除術と待機遅延内分泌療法の大規模なrandomized controlled trial(RCT)の結果が発表された1)(II)。結論として前立腺全摘除術は中〜高分化型限局性前立腺癌患者の疾患特異的生存率を改善したが,全体での生存率に差はなかった。しかし,その後観察期間を延長した成績では全体生存率,疾患特異的生存率ともに前立腺全摘除術群で有意に良好であった2)(II)
1985年から1992年までに報告された限局性前立腺癌に関する非無作為化臨床試験から待機遅延内分泌療法に関するメタアナリシスの結果が報告された。828例の症例が集積され,結果は10年疾患特異的生存率はグレード1とグレード2を合わせた場合87%であったのに対しグレード3(Gleasonスコア8-10)では34%と予後不良であった3)(II)。このように限局性前立腺癌に対する待機遅延内分泌療法においては腫瘍のグレードが大きな予後決定因子となっていることが明らかにされた。

 

 
ページトップへ

ガイドライン解説

close-ico
カテゴリで探す
五十音で探す

診療ガイドライン検索

close-ico
カテゴリで探す
五十音で探す