(旧版)前立腺癌診療ガイドライン 2006年版
第2章 診断
CQ3 | PSAグレーゾーンの生検絞り込みにPSAD,PSATZなどのPSA volumeパラメーターは有用か? |
推奨グレード C |
PSAD,PSATZなどのPSA volumeパラメーターは一般臨床への運用を推奨する十分な根拠がない。 |
背景・目的 |
解 説 |
PSADは前立腺癌診断時の特異度の改善には有用であるが,臨床上まだ一様に評価されていない1)(III)。グレーゾーンで生検を受けた1,239人の男性における多変量解析における各種パラメーターの癌予測因子は,PSAD>0.27,直腸診で癌が疑われる,PSAD 0.16-0.27,年齢が75歳以上,TRUSで低エコー域が認められる,の順であり,これらの結果に基づいてReceiver operating curve(ROC)を描いたところ,PSADのAUC 0.73でありtotal PSAのみの0.63を上回ったとの報告がある2)(II)。しかし,この報告のエビデンスレベルは低く,一般的に示唆されるPSAD 0.15でもかなりの癌を見逃すといわれていることを考慮すると,この論文におけるPSAD値を臨床に応用するのは問題であろう。
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1) | Gretzer MB, Partin AW. PSA markers in prostate cancer detection. Urol Clin North Am. 2003;30(4):677-86. | |
2) | Garzotto M, Hudson RG, Peters L, et al. Predictive modeling for the presence of prostate carcinoma using clinical laboratory, and ultrasound parameters in patients with prostate specific antigen levels < or=10ng/ml. Cancer. 2003;98(7):1417-22. |