(旧版)前立腺癌診療ガイドライン 2006年版

 
作成にあたって

 
前立腺癌診療ガイドラインが刊行されるに際し,本ガイドラインの作成に至った過程を簡単に披露するとともに,その概要を述べさせていただきます。
本ガイドラインは厚生労働省の医療技術評価総合研究事業の一環として厚生労働科学研究費補助金交付を受け,主に泌尿器科医を対象として作成されました。泌尿器科医以外の他科の医師におかれましても,クリニカルクエスチョン(臨床上の想定質問)とクリニカルアンサー(質問に対する回答)ならびにアルゴリズム(診断および治療の全体を示す流れ図)は日常の診療に役立てていただけるものと思っております。
本ガイドラインは1999年に作成されましたEAU(European Association of Urology)の前立腺癌ガイドライン,NCI-PDQ(National Cancer Institute-Physician Data Query)ならびにAmerican Cancer SocietyによるNCCN(National Comprehensive Cancer Network)を参考に原案を作成し,1999年以降のEBMに基づく知見を可能な限り集積・分析し作成しました。
EBMに基づいた資料収集担当ならびにガイドライン作成補佐の平尾佳彦教授をはじめとする研究班の班員,日本泌尿器科学会からボランティアとしてご依頼申しあげ構造化抄録を作成していただいた317名の日本泌尿器科学会会員および日本癌治療学会ならびに日本放射線腫瘍学会から参加していただいた先生方のご努力によって完成されました。また,初稿につきましては本ガイドライン作成関係者以外の泌尿器科専門医の先生に外部評価をしていただき,貴重なご意見を頂戴いたしました。まさに本ガイドラインは日本泌尿器科学会の総力を結集して作成されたと言えます。
「日本人を対象としたEBMに基づく」を約束事として本ガイドラインの作成に当たりましたが,エビデンスレベルの高い文献は海外のものが多く,その責を完遂出来ていない点をお含みおき願いたく存じます。執筆はクエスチョンに対するアンサー形式で,アンサーに推奨グレードA,B,C,Dを付し,Aは「強く勧める」,Dは「行わないように勧める」等としました(下表参照)。推奨グレードはエビデンスレベルを参考に総合的に判断しました。個々の患者様の診療方針決定に際しガイドラインを手助けとしていただければ幸いですが,ガイドラインの推奨グレードはあくまでも診療の目安であって拘束力を持つものではありません。つまり推奨グレードを絶対的なものとして患者様に安易に適用することは控えていただきたく存じます。
この点に留意して本ガイドラインをお使いいただくとともに,今後内容のより充実したガイドラインにするためにも,お気づきの点やご希望がございましたら,本研究班員あるいは日本泌尿器科学会腫瘍部会長までご進言をいただければ幸いです。また,このガイドラインの作成においての方法論と支援体制(「ガイドライン作成の経緯および手順に関して」参照)を今後の診療ガイドラインの作成に大いに役立てていただければと願っております。
最後に,今回のガイドライン作成においてご協力いただいた皆様方に,心から深甚なる謝意を表させていただき,はじめの言葉とさせていただきます。

平成18年3月
前日本泌尿器科学会理事長
神戸大学理事

守殿 貞夫


推奨度の決定
A. 行うよう強く勧められる
B. 行うよう勧められる
C. 行うよう勧められるだけの根拠が明確でない
D. 行わないよう勧められる

 

 
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