有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン
添付書類:エビデンステーブル
便潜血検査化学法:間接的証拠(検査精度)
文献 | 方法 | 著者 | 発表年 | AF | 検診方法 | 対象数 | 対象集団の特性 | 評価 指標 |
評価指標の把握 | 結果 |
31 | 化学法 | 熊西康信 | 1990 | 3 | 便潜血検査化学法 (制限食下シオノギB3枚法) |
5,919人 | 大阪府下在住者。男:2,387人、女:3,532人。 | 大腸がんに対する感度・特異度 | 大腸集検受診者の問診票、集検結果、精検結果を入力し、1人1件のデータファイルを作成し、大阪府がん登録ファイルとの照合。 | 集検終了後1年以内に診断された検診外発見がんを偽陰性とすると、シオノギB3枚法の感度は76.9%(10/13)、特異度は79.9%(4,718/5,906)であった。 |
32 | 化学法 | Hisamichi S | 1991 | 3 | 便潜血検査化学法 便潜血検査免疫法 |
459,658人、このうち1988年の受診者416,382人について詳細を示している。 | 10施設共同研究(日本) | 大腸がんに対する感度・特異度 | それぞれの施設において、免疫法と化学法の両者を行う。注腸検査や大腸内視鏡検査あるいは注腸検査と大腸内視鏡検査の両方を施行し、把握する。 | 化学法と免疫法のROC分布では、感度は、免疫法で60-100%。化学法は55-90%に分布している。一方、特異度については、免疫法で95-100%。化学法は75-95%に分布している。この結果から、感度・特異度共に、免疫法が化学法を上回るとしている |
33 | 化学法 | Iwase T | 1992 | 3 | 便潜血検査化学法(Hemoccult II) 3日・2日・1日法免疫法(RPHA)3日・2日・1日法S状結腸鏡の同時併用法。 | 5,715人 | 北陸中央病院(富山県)の人間ドック受診者。 5,717人中、男性4,313人(平均年齢:54歳)、女性1,402人(平均:52歳) |
大腸がんに対する感度 | 同時に施行したS状結腸内視鏡検査所見、および便潜血が陽性であった際に施行した注腸X線検査・内視鏡検査の所見により便潜血検査の偽陰性を把握 | 感度は化学法(Hemoccult)3日法:27.8%(5/18)免疫法(RPHA)3日法:88.9%(16/18)、2日法:77.8%(14/18) |
34 | 化学法 | 村上良介 | 1992 | 3 | 便潜血検査化学法:Shionogi AおよびB、3日連続の制限食後の便の一部を臨床検査技師が試験紙に塗布 | 3,449人 | 大阪府立成人病センターの人間ドック受診者で、大阪府在住者。男性が79.8%を占め、40-69歳が86.0% | 大腸がんに対する感度 | 大阪府がん登録による2年間追跡の結果をgold standardとして便潜血検査の偽陰性を把握する | 大腸がんに対する感度はShionogi A:62.5%(10/16)、B:43.8%(7/16)であった。胃がんに対してはA:11.8%、B:5.9%、食道がんに対してはA:20.0%、B:20.0%と低かった。 |
35 | 化学法 | Bang KM | 1986; | 3 | 便潜血検査化学法(食事制限を伴うHemoccult3日法I)およびflexible sigmoidoscopy | 1,473人 | 対象は米国および一部カナダの9,700人を擁する労働者団体全員男性、20歳以上、2人を除いて白人(99.4%) | 大腸がんに対する感度・特異度 | FOBT陽性あるいはsigmoidscopyで異常所見が発見された際に引き続いて行われる内視鏡検査あるいは注腸X線検査を至適基準とする | S状結腸内視鏡検査(flexible sigmoidoscopy)の大腸がんに対する感度・特異度はそれぞれ91.7%(11/12)、85.1%(1243/1461)であった。 またHemoccult IIの大腸がんに対する感度・特異度は25.0%(3/12)、97.6%(1426/1461)であった。 |
36 | 化学法 | Walter SD | 1991 | 3 | 免疫拡散法(RID)、rehydration Hemoccult(HR)、nonrehydration Hemoccult(HNR)の精度の比較。 | 1,303人 | New South Wales study、参加者はボランティア。性・年齢不詳。 | 大腸がんに対する感度・特異度 | 3種の便潜血検査が陽性者に対して精検を施行し大腸がんの有無を把握。 | RIDの感度が最も高かったが(87%)、特異度は他の2法より低かった(95.8%) |
37 | 化学法 | Thomas WM | 1992 | 3 | 便潜血検査化学法(加水なしのHemoccult3日法もしくは6日法),隔年 | 52,732人 | 無作為化比較対照試験(Nottingham study)における検診群。英国Nottingham地域50-74歳 | 大腸がんに対する感度 | Trent Cancer RegistryおよびNational Health Service Central Registryによって2年間追跡して中間期がんを把握し、FOBTの感度を算出 | FOBT検査を終えた検診群から判明した大腸がんは111人でそのうち36人が中間期がん、感度は67.6%であった。Hemoccult6日法の大腸がんに対する感度は74%で3日法の65%よりも高かったが、有意の差ではなかった。 |
38 | 化学法 | Rozen P | 1995 | 3 | 便潜血検査(化学法Hemoccult SENSAと免疫法BM-Test Colon Albumin) | 527人 | 51%が女性、平均年齢59歳。499人が無症状 | 10mm以上の腺腫および大腸がんに対する感度・特異度 | 対象者全員に内視鏡検査(全大腸:59%、S状結腸内視鏡:41%)と2種類のFOBT(化学法:Hemoccult SENSA、免疫法:BMTest Colon Albumin)を施行。 | 10mm以上の腺腫および大腸がんに対する化学法:Hemoccult SENSA及び免疫法:BM-Test Colon Albuminの感度はそれぞれ35%、30%で有意差がなかったが、特異度は85%、90%と免疫法が有意に高かった。 |
39 | 化学法 | Robinson MH | 1995 | 3 | 2種のFOBT(化学法:Hemoccult 免疫法:HemeSelect) | 808人(免疫法は808人全例、このうち417人には化学法も施行) | ハイリスク群(男性468人;平均年齢63歳、女性340人;平均年齢59歳) | 大腸がんに対する感度 | 96%に全大腸内視鏡を施行、全大腸内視鏡検査を施行できなかった症例には注腸検査を施行 | がんおよび1cm以上の腺腫に対するHemeSelectの感度はそれぞれ70%(7/10)、44%(16/36)、Hemoccultの感度はそれぞれ33%(1/3)、18%(3/17)であり免疫法の感度が高かった。特異度はHemeSelectの88%に対してHemoccultでは98%であった。 |
40 | 化学法 | Allison JE | 1996 | 3 | FOBT3種類 (化学法:Hemoccult II Hemoccult II Sensa 免疫法:HemeSelect) |
会員10,702人のうち1回でも便潜血検査を受けたのは8,104人(75.7%)。 | 米国カリフォルニア州OaklandにあるKaiser Parmanente Medical Centerの健康診査会員50歳以上 | 大腸がんおよび10mm以上のポリープに対する感度・特異度 | 2年間の追跡で大腸がん症例を把握し感度測定 | Hemoccult II、Hemoccult II Sensa、HemeSelect、Hemoccult II Sensa+HemeSelectの大腸がんに対する感度および特異度はそれぞれ37.1%、97.7%;79.4%、86.7%;68.8%、94.4%;65.6%、97.3%であった。 一方、Hemoccult IIおよびHemeSelectの10mm以上のポリープに対する感度・特異度はそれぞれ30.8%、98.1%;66.7%、95.2%であった。 |
41 | 化学法 | Launoy G | 1997 | 3 | 便潜血検査化学法(Hemoccult II) | 30,215人 | フランスカルバトス地方の地域住民45〜74歳 | 感度(滞在時間考慮) | 便潜血検査陽性者に対して施行した内視鏡検査および潜血陰性者についてはがん登録によりがんを把握 | 感度算出法により異なるが、47〜75%。滞在時間2.24〜4.94年。従来法では、滞在時間が最も短く(2.24年)、感度が高く(75%)に見積もられるが、モデルによる推計では感度は50%となる。部位により、滞在時間は異なり、近位大腸3.5年、遠位大腸6.4年、直腸2.6年であった。 |
42 | 化学法 | Tazi MA | 1999 | 3, 4 | 便潜血検査化学法 (Hemoccult II 3日法) 食事制限なし |
45,642人 | フランスBurgundyの12地域45-74歳 | 大腸がんに対する感度 | 検診受診者における大腸がんの情報は、消化器内科医・家庭医・病理医およびBurgundy cancer registryから得た | 5回の大腸がん検診のうち少なくとも1回受診した人から判明した大腸がん398人のうち中間期がんの割合は57.8%。中間期がんは有意に直腸に多かった。追跡期間を1年とすると、この検診の感度は62.9%、2年では感度57.4%であった。 |
43 | 化学法 | Zappa M | 2001 | 3 | FOBT (化学法:Hemoccult II 免疫法:HemeSelect) |
41,774人 | イタリア、フローレンス地方検診受診者50、70歳 | 大腸がんに対する感度 | がん登録で有病例(真陽性+中間期がん)を把握(2年間の追跡)した。 | 感度は化学法37%、免疫法77%(1年の追跡ではそれぞれ64%と89%)。 |