有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン

 
VI.考察


6.がん検診におけるインフォームド・コンセント

便潜血検査による大腸がん検診の実施については、免疫法、化学法のいずれを選択することも可能である。食事・薬剤制限のない免疫法が、受診者にはより受け入れやすく、受診率向上にも寄与することから、本ガイドラインでは、便潜血検査として、免疫法を推奨している。しかし、免疫法にも、偽陰性や偽陽性による不利益があることから、受診者に対して十分な説明を行う必要がある。
内視鏡検査を用いる検診では、安全対策とインフォームド・コンセントが重要である。内視鏡検査による検診を行う場合には、実施可能な医療機関の確保が前提となる。その実施は、医療設備とマンパワーの関係から限定される可能性がある。安全対策の確保と同時に、現在考えられている検査のリスクを最小化することを目標とすべきであり、偶発症及び感染対策は日本消化器内視鏡学会のガイドライン112)に準拠した対策や救急時の対応を整備する必要がある。文書及び口頭による十分な説明の上、受診者個人の価値観に基づき、検査方法を選択できるように、医療従事者が適切な援助を行うことが必要である113,114)。ただし、検査前に承諾書をとることが普及しつつあるが、医療従事者の保全のためだけではないことに留意しなくてはならない。インフォームド・コンセントにおいては、検査の利益・不利益の説明を行い、受診者の健康状態を考慮する。特に、抗凝固剤や糖尿病で血糖降下剤やインスリンを使用している場合などは、事前に確認の上、必要に応じて薬剤制限を行う。また、前処置として下剤の服用などについても注意を要する。大腸がん検診におけるインフォームド・コンセントを円滑に行うためのパンフレットやビデオ、スライドなどのツールの開発も重要であり、今後取り組むべき課題である。

 

 
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