有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン

 
IV.結果


2.検診方法の証拠

5)全大腸内視鏡検査

直接的証拠

全大腸内視鏡検査による大腸がん死亡率減少効果の直接的証拠は症例対照研究とコホート研究がある。
Mullerらは、1988年から1992年に大腸がんで死亡した退役軍人男性4,411人の症例群と、性、年齢、人種をマッチし1対4で設定した対照群についてS状結腸鏡検査、ポリペクトミーを含む大腸内視鏡検査既往と大腸がん死亡に関する症例対照研究を行った59)。いずれかの検査を受けることにより大腸がん死亡が59%減少し(OR=0.41; 95%CI, 0.33-0.50)、その効果は5年以上10年までほぼ同等であった。また、全大腸内視鏡検査に限定した場合でも、大腸がん死亡は54%減少していた(OR=0.46; 95%CI, 0.35-0.60)。ただし、本研究は主として診断目的として行われた内視鏡検査を対象としていることから、その結果をそのまま検診の評価に当てはめることはできないことに留意を要す。
Kavanaghらは、40〜75歳の米国人男性医療従事者を対象とし、検診受診群3,195人、未受診群21,549人について8年間の追跡したコホート研究を報告している60)。ただし、この検討では全大腸内視鏡検査とS状結腸鏡検査が区別されていない。内視鏡検査による大腸がん罹患率減少効果は42%(RR=0.58; 95%CI, 0.36-0.96)、死亡率減少効果は44%(RR=0.56; 95%CI, 0.20-1.60)であった。死亡率減少効果は、遠位大腸のDukes C・Dでは84%(RR=0.16; 95%CI, 0.20-1.60)であったが、近位大腸のDukes C・Dでは4%(RR=0.96; 95%CI, 0.32-2.91)と効果は認められなかった。

 

 
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