有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン
IV.結果 |
2.検診方法の証拠
1)便潜血検査化学法
直接的証拠
便潜血検査化学法の大腸がん検診の死亡率減少効果は、3件の無作為化比較対照試験により証明されている(表5)。
米国Minnesota研究では、加水した検査を用いて、50〜80歳の男女を対象に、隔年受診群(15,587人)、逐年受診群(15,570人)、対照群(15,394人)の3群について、18年間に亘る追跡が行われた17)。対照群に比し、隔年受診群で21%(RR=0.79; 95%CI, 0.62-0.97)、逐年検診で33%(RR=0.67; 95%CI, 0.51-0.83)の大腸がん死亡率減少効果を認めた。
英国Nottingham研究及びデンマークFunen研究では、加水なしの検査による無作為化比較対照試験が行われている。Nottingham研究では、45歳から74歳を対象とし、隔年受診群(76,224人)、対照群(76,079人)について11年間に亘る追跡が行われ、隔年受診群で13%の大腸がん死亡率減少効果を認めた(RR=0.87; 95%CI, 0.78-0.97)18)。Funen研究では、45歳から75歳を対象とし、隔年受診群(30,967人)、対照群(30,966人)について13年間に亘る追跡を行い、隔年受診群で18%(RR=0.82; 95%CI, 0.69-0.97)の大腸がん死亡率減少効果を認めた19)。
スウェーデンの無作為化比較対照試験の中間報告を加えた4件の無作為化比較対照試験のメタ・アナリシスでは、16%の死亡率減少効果(RR=0.84; 95%CI, 0.77-0.93)を認めた20)。諸外国で施行された8文献の症例対照研究21,22,23,24,25,26,27,28)及び1文献のコホート研究29)でもほぼ同様の結果である(表6)。
表5 便潜血検査化学法による無作為化比較対照試験 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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表6 便潜血検査化学法による症例対照研究 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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*大腸がん検診を1回受診した後、2回目を受診した者を受診群とする |