有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン
IV.結果 |
1.対象文献の集約
大腸がん検診については、MEDLINEから以下の検索式を用いて、1985年以降の1,184文献を選択した。検索式は表3に示した。医学中央雑誌についても、表3の検索式を用いて、1987年以降の116文献を選択した。
大腸がん検診では、MEDLINEにより、1,184文献を検索した(図2)。これらの文献について、研究班の分担研究者あるいは研究協力者が2人1組となり評価を行った。両者の評価と委員会による再判定、ならびにEMBASE、CINHALについても、表3の検索式を用いて再検索し、MEDLINEと重複のない文献を抽出した。また、他ガイドラインと照合し脱落が認められた重要文献の追加引用を含め、最終的に214文献を論文レビューの対象とした。論文レビューの結果、直接的証拠(AF1)として20文献、間接的証拠(AF2〜9)39文献を最終的な証拠とした。証拠のまとめの段階で、委員会の意見で追加された7文献の内訳は、便潜血検査免疫法の精度1文献、大腸内視鏡の症例対照研究1文献、ポリペクトミーの評価1文献、S状結腸鏡の不利益3文献、注腸X線の不利益1文献であった。
和文についても、医学中央雑誌116文献、日本消化器集団検診学会248文献から、同様の過程を経て(図3)、16文献を論文レビューし、直接的証拠(AF1)として1文献、間接的証拠(AF2〜9)12文献を最終的な証拠として採用したが、この他の情報7文献を委員会の意見により追加採用した(間接的証拠19文献)。不利益に関する情報として論文以外から、全大腸内視鏡検査の前処置に広く用いられている経口腸管洗浄剤(ニフレック)に関する報告として、平成15年9月に公表された厚生労働省ホームページの腸管穿孔及び腸閉塞に関する緊急安全性情報15)と、大洋薬品工業株式会社安全性調査室の大腸検査前処置用下剤テクトロール散安全性情報を追加で採用した16)。この他、日本消化器内視鏡学会の報告2文献とS状結腸鏡及び注腸X線検査の偶発症に関する2文献、注腸X線検査の放射線被曝に関する1文献も委員会の意見により追加した。
これらの結果に基づき、各検診方法別の証拠のレベル、不利益を検討した。
表3 文献検索式(MEDLINE、医学中央雑誌) | ||||||||
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図2 大腸がん検診評価文献の選択過程(英文論文) |
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図3 大腸がん検診評価文献の選択過程(和文論文) |
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