(旧版)鼻アレルギー診療ガイドライン -通年性鼻炎と花粉症-
鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会(2005年刊改訂第5版)

 
  
第4章 検査・診断法
Examination and Diagnosis


III アレルギー性鼻炎の分類(Classification of allergic rhinitis)

4.重症度

各症状の程度,検査成績の程度,視診による局所変化の程度などで患者の重症度を決定する。症状はくしゃみ,鼻漏と鼻閉の強さの組み合わせで決める。必要により最重症4点,重症3点,中等症2点,軽症1点とスコア化することがある。
各症状の強さは,くしゃみは1日の回数,鼻汁は1日のこう鼻回数,鼻閉は口呼吸の時間で分類する(表9)。このほかQOL(quality of life)の簡単な表現として日常生活の支障度も加える。花粉量の多い年で症状の強いときは,最重症とし++++(くしゃみ発作21回以上,こう鼻回数21回以上,鼻閉++++)のランクを用いることがある。スコア化し1〜4点を与える(表12A)。
局所所見の視診は鼻鏡検査による。粘膜蒼白,水性鼻汁,鼻汁好酸球数,誘発テスト陽性がアレルギー性鼻炎の特徴である。粘膜所見の程度分類は表10に示されているが,色調,鼻炎の性状は程度分類でなく,所見の質を表している。赤色は急性炎症や急性アレルギー(例えば花粉症のシーズン中の反応),膿性鼻汁は感染性鼻汁を示唆する。
アレルギー検査成績の程度分類も表11に示されている。

表9 アレルギー性鼻炎症状の重症度分類
程度および重症度 くしゃみ発作または鼻漏*
++++ +++ ++ + -
鼻 閉 ++++ 最重症 最重症 最重症 最重症 最重症
+++ 最重症 重 症 重 症 重 症 重 症
++ 最重症 重 症 中等症 中等症 中等症
+ 最重症 重 症 中等症 軽 症 軽 症
- 最重症 重 症 中等症 軽 症 無症状
くしゃみ・鼻漏型  鼻閉型  充全型
*くしゃみか鼻漏の強い方をとる。
従来の分類では,重,中,軽症である。スギ花粉飛散の多いときは重症で律しきれない症状も起こるので,最重症を入れてある。

各症状の程度は以下とする
種類 程度
++++ +++ ++ + -
くしゃみ発作
(1日の平均発作回数)
21回以上 20〜11回 10〜6回 5〜1回 +未満
鼻    汁
(1日の平均こう鼻回数)
21回以上 20〜11回 10〜6回 5〜1回 +未満
鼻    閉 1日中完全につまっている 鼻閉が非常に強く,口呼吸が1日のうち,かなりの時間あり 鼻閉が強く,口呼吸が1日のうち,ときどきあり 口呼吸はまったくないが鼻閉あり +未満
日常生活の支障度* 全くできない 手につかないほど苦しい (+++)と(+)の中間 あまり差し支えない +未満
*日常生活の支障度:仕事,勉学,家事,睡眠,外出などへの支障

表10 局所所見の程度分類
種類 程度
+++ ++ + -
下鼻甲介粘膜の腫脹 中鼻甲介みえず (+++)と(+)の中間 中鼻甲介中央までみえる な し
下鼻甲介粘膜の色調* (蒼 白) (赤) (薄 赤) (正 常)
水性分泌量 充 満 (+++)と(+)の中間 付着程度 な し
鼻汁の性状* (水 性) (粘 性) (膿 性) (な し)
*程度ではなく質の変化


表11 アレルギー検査成績の程度分類
検査法 程度
++++ +++ ++ + -
皮内テスト 紅斑41mm以上
膨疹16mm以上
40mm〜20mm
15mm〜10mm
40mm〜20mm
9mm以下
  19mm以下
9mm以下
鼻誘発テスト* 症状3つ
特にくしゃみ6回以上
症状3つ 症状2つ 症状1つ 0
鼻汁中好酸球数 群 在 (+++)と(+)の中間 弱拡で目につく程度   0
*症状3つ:(1)くしゃみ発作・鼻そう痒感,(2)下鼻甲介粘膜の腫脹蒼白,(3)水性分泌
スクラッチ(プリック)テストは施行後15〜30分に膨疹または紅斑径が,対照の2倍以上,または紅斑10mm以上もしくは膨疹が5mm以上を陽性とする。


表12A アレルギー性鼻炎重症度のスコア化(症状スコア,薬物スコア,症状薬物スコア)
分類の目的
1. アレルギー性鼻炎の重症度の評価
2. 個人,グループにおける治療効果,経過の評価
3. 薬効評価。
4. その他
分類の方針
1. 症状を主な対象とし,他覚的所見を参考とする。しかし将来は両者の統合に努力する。
2. 症状のうち,鼻と眼症状を現段階では別に取り扱う。
●鼻症状はくしゃみ,鼻漏,鼻閉を主とし,くしゃみと鼻漏の程度は相関が大のため,どちらか強い方をとる。
●眼症状はかゆみ,流涙を主とし,どちらか強い方をとる。将来は眼科学会の分類と整合性をはかる。
3. 症状程度分類は,原則としてその強さと頻度の組み合わせとし,症状の表現はできるだけ客観的とする。必要により病型分類を加える。
4. 薬物療法が関与するときは,medication score, symptom medication scoreを用いることができる。
5. 対象はアレルギー日記記録可能な条件をもつ者とする。
6. 不適切な治療の治療効果評価は望ましくない。
7. 全体として単純,客観性を尊重する。
症状別重症度分類
鼻症状は従来の奥田分類に最重症を加えた変法を必要により採用する。
症状重症度スコア
鼻症状分類は従来の奥田分類の変法を用い,最重症 4点,重症 3点,中等症 2点,軽症 1点のsymptom score(S)を与える。
病型分類
鼻症状をくしゃみ・鼻漏型,鼻閉型,充全型に各症状の強さにより分類する。







Medication score
以下,点数/日をそれぞれの薬物投与に与え,併用の場合は合計する。1日常用量を標準とする。量は過大過小にならぬ限り同スコアとする。同種同効果の薬剤の併用は合計点を与えるが矛盾する場合は適宜加減できる。さらに遅効性薬物の投与初期,持続性薬物の投与中止後の加点,投与期間による調整などの問題があるが,現時点では単純化し不問に付す。経口ステロイドについては,抗炎症作用換算量に従い換算し,プレドニゾロン1mgを1点とする。
スコア例
第1,第2世代抗ヒスタミン薬,遊離抑制薬 1点
鼻噴霧用ステロイド薬 2点
点鼻用血管収縮薬 1点
点眼用遊離抑制薬 1点
点眼用ステロイド薬(例 0.02%フルメトロン) 2点
特異的免疫療法 維持量前 0.5点,維持量後 1点
経口ステロイド抗ヒスタミン薬の合剤
(例:セレスタミン(R)
3点
その他の薬剤は上に準じて適宜点数化し,薬剤名を付記する。
Symptom medication score
使用薬剤と症状重症度を加算する。
予後判定基準
薬物療法の短期予後は1〜4週以上,長期予後は1〜3カ月以上,花粉症は3シーズン以上,特異的免疫療法は1〜3年以上,さらに治療中止5年以上,手術療法は3年以上の観察を必要とする。ただし,あげられた数字は今後さらに検討を要する。
治療効果判定のひとつの例として表12Bを示す。このほか,symptom scoreの減少を他剤(プラセボ)などと比較することによって効果判定とすることもある。

長期寛解(臨床的治癒)とは,治療中止後医療を5年以上(5年の数字は今後要検討)受けることなく,急性増悪もいわゆるかぜ程度の回数,苦痛,病悩日数で治癒し,多少の症状があっても普通の生活ができることを,便宜的に指す。
この場合,誘発反応,鼻汁好酸球増多の陰性化,鼻鏡所見の正常化が望ましい。

表12B 治療効果の判定
重症度および改善度 治療終了時
最重症 重 症 中等症 軽 症 無症状
治療開始前 最重症 不 変 改 善 著明改善 著明改善 消 失
重 症 悪 化 不 変 改 善 著明改善 消 失
中等症 悪 化 悪 化 不 変 改 善 消 失
軽 症 悪 化 悪 化 悪 化 不 変 消 失
無症状 悪 化 悪 化 悪 化 悪 化 不 変
「判定不能」治療開始前,治療終了時の観察がいずれか一方または両方できなかった場合


参考文献
1) 奥田 稔:鼻アレルギーの重症度分類.耳喉 55:939-945,1983.
2) 奥田 稔,大久保公裕,後藤 穣:鼻正常者の鼻症状.アレルギー 54:551-554,2005.
3) 奥田 稔,大久保公裕,藤田洋祐:アレルギー性鼻炎の新しい重症度分類―スコア化の試み.アレルギーの領域 4:97-102,1997.
4) 大久保公裕,藤田洋祐,奥田 稔:アレルギー性鼻炎に対する薬物治療―symptom-medication scoreによる評価.アレルギーの領域 5:15-23,1998.
 
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