(旧版)鼻アレルギー診療ガイドライン -通年性鼻炎と花粉症-
鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会(2005年刊改訂第5版)

 
  
第3章 アレルギー性鼻炎発症のメカニズム(図3)
Mechanisms


アレルギー性鼻炎は他のI型アレルギー性疾患と同じく,遺伝的素因が重要である。遺伝形式については,家族調査からアレルギーにならない素因が優性に遺伝するといわれている。感作発症素因は多因子的であり,解明はまだ不十分であるが,IgE抗体産生素因が最も重視されている。IgE抗体は抗原の粘膜内侵入により,鼻粘膜内や所属リンパ組織などで産生される。抗原は抗原提示細胞に貪食され,これにより活性化されたTh2とBリンパ球の相互作用が最も重要である。
アレルギー性鼻炎の病因抗原の大部分は吸入性抗原で,ヒョウヒダニ(Dermatopha-goides:ハウスダスト中の主要抗原),花粉(樹木,草本,雑草類など),真菌類など,特に前二者が主な抗原である。食物抗原の鼻アレルギー発症への関与はきわめて低いと考えられている。
抗原特異的IgE抗体が気道粘膜に分布する好塩基性細胞(肥満細胞と好塩基球)上のIgE受容体に固着することによって感作が成立する。
感作陽性者の鼻粘膜上に抗原が吸入されると,鼻粘膜上皮細胞間隙を通過した抗原は,鼻粘膜表層に分布する肥満細胞の表面でIgE抗体と結合し,抗原抗体反応の結果,肥満細胞からヒスタミン,ペプチドロイコトリエン(LTs)を主とする多くの化学伝達物質が放出される。これらの化学伝達物質に対する鼻粘膜の知覚神経終末,血管の反応として,くしゃみ,水様性鼻汁,鼻粘膜腫脹(鼻閉)がみられる。これが即時相反応(early phase reaction)である。
抗原曝露後,鼻粘膜内では肥満細胞または,Th2リンパ球で産生されるサイトカイン(IL-5, IL-4, IL-13, GM-CSF),ケミカルメディエター(PAF, LTB4, LTs, TXA2),上皮細胞,血管内皮細胞,線維芽細胞で産生されるケモカイン(eotaxin, RANTES, TARC)によって,活性型好酸球を中心とする様々な炎症細胞が浸潤する。鼻粘膜におけるアレルギー性炎症の進行と同時に様々な刺激に対する鼻粘膜の反応性が亢進する。また,2次的に浸潤した炎症細胞,特に好酸球で産生されるLTsによって鼻粘膜腫脹が起こる。これが遅発相反応(late phase reaction)であり,抗原曝露6〜10時間後にみられる。

図3 アレルギー性鼻炎のメカニズム
(第1回那須テーチイン記録集,1996を一部改変)
図3 アレルギー性鼻炎のメカニズム(第1回那須ティーチイン記録集,1966を一部改変)
Hi:ヒスタミン,LTs:ロイコトリエン,TXA2:トロンボキサンA2,PGD2:プロスタグランジンD2
PAF:血小板活性化因子,IL:インターロイキン,GM-CSF:顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子,
IFN-α:インターフェロン-α,TARC:thymus and activation-regulated chemokine,
RANTES:regulated upon activation normal T expressed, and presumably secreted,
TCR:T細胞受容体
*遊走因子については,なお一定の見解が得られていないので可能性のあるものを並べたにすぎない。
**アレルギー反応の結果,起こると推定される。
 
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